賢者の知恵
2015年11月27日(金) 週刊現代

アメリカと中国が極秘裏に結んだ「軍事協定」とは?
~中国戦略センター所長が明かす、ホントの米中関係

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―10月27日、横須賀基地を母港とするアメリカ軍の駆逐艦「ラッセン」が、ついに南沙諸島の中国の埋め立て地から12海里以内に進入。米中両大国が緊迫してきて、日本でも大きなニュースになっています。本書『China2049』は、こうした南シナ海制圧も含めた、中国が建国100周年の2049年までに世界の覇権を取る戦略が、記されています。

南シナ海へは、CNNテレビの記者から、取材に同行しないかと誘われましたが、危なそうだから断りました(笑)。

アメリカ軍は本来なら、中国が2年前に南シナ海に進出した時に、行動しておくべきでした。そうしていたら、7つの人工島や3つの滑走路などは造られずに済んだ。しかし当時のアメリカ連邦議会は反対した。中国は、アメリカ企業にとって最大の市場であり、敵ではないというわけです。

もう一つの理由は、米中間で、秘密の軍事協定があるからです。

―本書の第3章に書かれた米中間の「秘密協定」のくだりは、この438ページもある大著の中で、最も衝撃的でした。いわゆる1973年10月から11月に米中間で交わした「約束」です。

当時のニクソン政権は、イギリスを経由することで、アメリカの法律や規制を回避して、中国にハードウエアや技術を提供した。人民解放軍に対するレーダー装備などの支援も申し出た。

そうです。私はその頃、有力シンクタンクのランド研究所で中国専門家として働いていて、この仕事に関わっていました。当時の私も、交渉役のキッシンジャー大統領補佐官に、中国への支援を勧めていたのです。

すべては、最大の敵だったソ連に対抗するためでした。このプロジェクトは、30年にわたり極秘扱いとし、CIA(中央情報局)にも明かしませんでした。'79年8月に、カーター政権のモンデール副大統領が訪中した際、国防総省とCIAは、軍事機材を軍用輸送機で中国に運びました。

その後、私の政治の師匠であるレーガン大統領時代の'81年になって、中国への支援はレベルアップしました。レーガン大統領は、「NSDD(国家安全保障決定令)11」に署名しました。これは、人民解放軍の戦闘能力を国際レベルにまで底上げするために、先進的な空軍、陸軍、海軍及びミサイルの技術を、中国に売却することを、国防総省に許可するものでした。

レーガン大統領は、'84年には「NSDD140」にも署名しています。そこには、「強く安全で安定した中国は、アジアと世界の平和を保つ力になるはずなので、その近代化を助けよう」と書かれています。

中国に武器を輸出して軍事力強化を支援し、台湾への武器輸出は削減しようと指示したのです。その文書のコピーは国家安全保障会議のスタッフ用として15部しか作成されませんでした。

実際に、'85年には、中国に武器を提供しています。10億ドルを超す6つの主要な武器システムを、中国に売る手はずを整えたのです。

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