雑誌
中国の製造業が崩壊する日
〜もはや対岸の火事ではない。中国発の恐慌に備えよ!

もう打つ手はほとんどない〔PHOTO〕gettyimages


一人っ子政策廃止の理由

10月26日から29日まで、北京で「5中全会」が開かれた。'16年から'20年までの経済発展目標である「第13次5ヵ年計画」を策定する重要会議である。習近平主席が主催し、355人の共産党幹部が、一堂に顔を揃えた。

だが今回策定した5ヵ年計画に限っては、明るい話がほとんど出てこなかった。「5中全会」を取材した中国人ジャーナリスト李大音氏が語る。

「経済状況があまりに悪いため、4日も幹部たちが議論して、決めたトピックは、国民の生産力と消費力を上げるため、一人っ子政策を完全廃止するということだけでした。そもそもメンバーの12人がすでに粛清されているため、参加者たちは『次は自分かも』と戦々兢々だったのです」

李氏によれば「5中全会」前に〈中国経済の近未来予測〉と題された文書が密かに出回ったという。

「それは、5ヵ年計画の叩き台として、財政分野を担当する中国財政部と投資分野を担当する国家発展改革委員会が、A4用紙で11枚にまとめたものです。そこには'16年の中国経済予測が書かれ、李克強首相にも回覧されたと聞いています」

以下がその概要だ。

〈中国経済は、石炭・鉄鋼・金属・石油・化学工業などの生産過剰、不動産バブルの崩壊、地方政府債務の増大によって、この先、深刻な状況に陥るだろう。

この危機的状況から脱却するベストの方法は、中国経済を牽引する「三頭馬車」(輸出、消費、投資)のうち、国民の消費を伸ばすことだが、消費は株式バブルの崩壊によって、完全に頭打ちだ。輸出も同様に伸びず、結局は政府主導の投資に頼らざるを得ない。

だがインフラ整備、不動産建設、製造業支援などの投資は、将来への借金であり、かつそれほど需要もない。つまり投資も減少させるしかなく、八方塞がりの中国経済は、かなりのレベルまで下降していくだろう。

そうなると、銀行は貸し渋りに走る。それによって民営企業が経営難に陥り、景気はさらに悪化する。だがもし政府が銀行の貸し渋りを強制的に正せば、今度は銀行が破綻に追い込まれる……〉