これは国家による子どもたちへの「虐待」だ! 施設で育った子が抱える見えない病「愛着障害」
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家族を知らずに育った子ども

「小学6年生になっても哺乳瓶で飲みたがり、赤ちゃん言葉で甘えてきて、私が食べさせないとご飯を食べない。そうかと思ったら『てめぇ、ぶっ殺すぞ』と声を荒げる。赤ちゃんとヤクザがコロコロ入れ替わるような多重人格でした。

学校でも女の子なのに友人によく殴りかかっていて、学校の先生には『こんな小学生、見たことない』と驚かれました。年不相応に卑猥なことを言ったり、とにかく育てにくい子でしたよ」

そう語るのは、15年間里親をしてきた竹林美穂さん(仮名、40代)。美穂さんは30代前半に里親を始め、障害児など課題を抱える子どもたちを複数家庭に受け入れてきた。

さまざまな障害を抱える子どもたちを養育してきた美穂さんが一番頭を悩ませたのが、3人目の里子として受け入れた怜ちゃん(仮名、当時9歳)だった。

怜ちゃんは生まれたときから、竹林家に来る小学校3年生までずっと施設で育った。父は行方不明、母は精神病を患い子どもを育てられる状況ではなかった。施設に1度だけ面会に来たこともあったそうだが怜ちゃんにその記憶はない。その後実母と会ったのは、美穂さんに連れられて児童相談所で面会した3回のみ。

明らかに不健康そうな母親の姿に怜ちゃんも驚いていたようだったと美穂さんは振り返る。その面会で怜ちゃんは「わたしに兄弟はいるの?」と実母に尋ねた。そこで父親が違う弟がいることを知ったが、養子縁組をしたため、実母も弟がどこにいるのかわからないという。

怜ちゃんは家族を知らずに育ってきた。

施設で育った子どもたちが見せる異常な“症状”

2歳〜18歳の子どもたちが一緒に暮らす児童養護施設では、職員が見えない死角がたくさんある。大人の目が行き届かない子どもたちの世界は無法地帯で、暴力や性行為など悪しき習慣が続いているケースも少なくないという。

そして、それらの習慣は子どもたちの人格形成に影響を与えてしまう。歯の磨き方やお風呂の入り方がわからない。夜中にドン、ドン、ドンと頭をベッドに何度も打ち付けないと眠れない。ズボンを脱いで股にモノを挟んだり、「Hしたい」など卑猥な言葉を何度も繰り返したりする。学校で友人の顔を爪でえぐったり、先生にはさみを投げつけたりする。

怜ちゃんをはじめ美穂さんが接してきた子どもたちはさまざまな“症状”を見せた。