『超高速! 参勤交代 老中の逆襲』
著者・土橋章宏さんに聞く

インタビュー「私が書きました」

―15万部を突破した『超高速!参勤交代』は佐々木蔵之介主演の映画も大ヒット。来年には続編の『超高速!参勤交代リターンズ』も公開されます。本書はその原作にあたる小説です。

土橋章宏(どばし・あきひろ)'69年大阪府生まれ。'11年シナリオ「超高速!参勤交代」で城戸賞受賞。'13年『超高速!参勤交代』で作家デビュー。同名映画で日本アカデミー賞最優秀脚本賞受賞。その他の小説に『ライツ・オン!』など

当初は続編を書く予定はありませんでした。ですが、ありがたいことに、昨年の映画公開中に、「続編が見たい」という声がかなりありました。「そんなに期待されているのなら」と、今作を書くことを決めたんです。

登場人物のキャラクターも好きでしたし、映画で佐々木さんや深田恭子さんをはじめとした俳優の方たちが演じられたことで、魅力が深まった。もう一回彼らに動いてもらいたいと思ったことも、続編を決めた理由です。

前作では江戸から60里(約240km)ほど離れた磐城の湯長谷藩(福島県いわき市)が、悪徳老中の松平信祝に「5日以内に参勤せよ」と無理難題をふっかけられました。今回のストーリーはどのように?

参勤交代は「参勤」が行きで「交代」が帰り。前作では湯長谷藩の参勤が成功しただけで、交代はまだ終わってなかったんです。だったら、帰りの交代を書けばいいと考えました。

今作でも引き続き、敵役は松平信祝です。彼は一回くらいじゃくじけないでしょう(笑)。前回は湯長谷藩をなめていたところもありましたが、次は全力を出してくる。参勤を成功させたことで信祝を本気にさせてしまって、さらにひどい目に遭うという展開です。

湯長谷藩主の内藤政醇は剣の腕も立ち、藩士たちの信望も厚い名君ですが、どこか抜けたところがある。閉所恐怖症という弱点も抱えているのがいっそう魅力的です。

政醇はあまり先のことを考えず、ただ本能に従って生きているんですが、真実は突いてくる。ドラマ『24』のジャック・バウアーをイメージした、明るくて腕っ節が強く、問題をガンガン解決していく人物。どんな危機も明るく乗り越える湯長谷藩のまさに象徴です。

もともと前作のアイデアは、東日本大震災が起きた2011年の夏、福島県に取材に行ったのがきっかけなんです。缶詰工場などの腐敗臭がすごくて、外に出られず、窓も開けられずにずっと車に乗っていました。しまいには僕自身が閉所恐怖症のようになってしまって。

その経験から、昔の殿様も参勤交代で長いこと駕籠に乗っていたら辛かっただろうなと思い、「参勤交代」や「閉所恐怖症の殿様」というアイデアが生まれました。