雑誌 ドクターZ
「白タク解禁」でUberが日本で本領発揮なるか!?〜猛反対する国交省のホンネ
白タク解禁でタクシー待ち時間も圧縮される?(PHOTO:gettyimages)

10月20日に開かれた国家戦略特区諮問会議で安倍晋三首相が提言した「白タク解禁案」に、国交省が猛反発している。

彼らは「安全面で問題があるから」として反対しているが、それは本音ではない。強硬に反対している真の理由は何か。そもそも、「白タク」と呼ばれる個人タクシーが解禁されれば、我々の生活はどう変わるのか。

国交省は、霞が関中で、最も「規制大好き」な官庁として知られる。しかも、彼らが行う規制は、消費者ではなく事業者のためのものばかり。国交官僚の多くが関係団体に天下りしてきたタクシー業界では、その傾向は特に顕著だ。

タクシー事業者のための規制として好例なのが、'14年1月から施行されている「改正タクシー事業適正化・活性化特別措置法」。いわゆる「タクシー減車法」である。「都市部におけるタクシーの台数減らし」を義務化するという内容。国交省は、世界の主要都市でタクシー台数規制が実施されていることを根拠に、この法律を正当化してきた。

だが、世界の主要都市でのタクシー料金が、日本よりはるかに安いという事実は伏せている。東京のタクシーの料金の高さは世界トップクラス。当然、海外からの旅行者の日本のタクシーに対する評判は非常に悪い。

経済学の視点から見ても、タクシー減車法は完全に間違い。経済効率を上げる「正解」は、参入規制を緩和し、価格規制を緩和・自由化することだ。

一方、タクシー減車法は、料金を高いまま固定化して価格規制を強化するとともに、同時に参入規制も強化する。つまり、経済学のイロハを無視した悪法である。

こうした中で、安倍首相が「白タク」の解禁を検討したらどうかと持ちかけた。「観光客の交通手段」として、東京五輪に向けた観光産業の強化という意味合いもある。

経済学から見ても白タク解禁は「あり」

この提言に最も喜んでいるのが、米国企業のUber社だ。同社はネットを使ったタクシー配車サービスを提供しており、世界63ヵ国、339都市に展開。'13年11月には日本にも進出していた。

日本ではハイヤー分野に参入し、タクシーより少し高い料金で、黒塗りの高級車の配車サービスを行っている。ただ、Uber社の「最大の売り」である、一般人が自家用車を使って他人を運ぶサービスは、国交省が「白タクにあたる」として規制していたため、提供できていなかった。

海外で白タク事業を成功させてきたノウハウを持つUber社からすれば、解禁さえされてしまえば、サービスの仕組みを築くことは簡単。日本のタクシー業界は一瞬にして勢力図が塗り替えられることになる。

前述したとおり、経済学から見れば、タクシー業界の規制緩和は歓迎すべきことだ。一般市民がサービスの質によってタクシーを選べるようになり、経済は活性化する。白タク解禁は、利便性を向上させるのだ。

国交省の本音は、これまでどおりタクシー業界を擁護し、蜜月関係を続けたい、というもの。だが、「白タク解禁案」にこのまま反対し続ければ、観光産業は停滞する。「白タク解禁」は、我々にとって悪いことではない。それを念頭に、国交省がどうさばくかに注目していくべきだろう。

『週刊現代』2015年11月14日号より

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