まだ間に合う。絶好調ドラマ『下町ロケット』を見逃すな! その圧倒的な面白さのヒミツに迫る
TBS『日曜劇場 下町ロケット』HPより

ゲーム感覚で楽しめるTVドラマ

初回終了の後、本コラムで「抜群に面白い」と書いた『日曜劇場 下町ロケット』(午後9時)が、予想通りに高視聴率を記録している。

初回が16.1%で2話が17.8%、3話にいたっては18.6%と今期ドラマ最高視聴率を獲得した。よく言われる「視聴者のドラマ離れ」は限定的な話に過ぎず、面白い作品は確実に支持を得ることが示された。

『下町ロケット』の好調で思い出したのは、スマートニュース社・松浦茂樹ディレクターの言葉である。同社はスマホとタブレット端末向けにニュースを配信しているが、ライバルは新聞や雑誌、テレビではないという。「ライバルはゲーム」と語っている。

「『ニュースを見るよりゲームをしている方が楽しい』と言われてしまったら、それまで」(毎日新聞10月15日付朝刊)。

この言葉は今のTVドラマにも当てはまるはずだ。ドラマよりゲームの方が楽しいと思われてしまったら、見てもらえない。90年代までとは違い、ドラマのライバルは裏番組だけではなくなった。

にもかかわらず、今も90年代までの感覚で制作されている作品は少なくない。酷いものになると、まるでバブル期のトレンディードラマのままに見える。それでは視聴者に受け入れられるはずがない。

ゲームが楽しいのは、目標や敵の存在があるからだ。目標を達成すると満足感が得られるし、敵を倒せばスカッとする。そして何より、自分が参加できる。その点、テレビは一方通行のメディアだから、どうしても不利。そんな弱点を補い、まるでゲーム感覚で楽しめるのが、『下町ロケット』である。

まず、主人公で町工場「佃製作所」を経営する佃航平(阿部寛)が愛すべき男だから、感情移入しやすい。感情移入できる航平の前に次々と敵が現れ、倒していくので、見る側も痛快であり、まるでゲームをしているような感覚になるのだ。

序盤の敵は難癖のような訴訟を突き付けてきた一部上場企業「ナカシマ工業」と、困った時には知らぬ顔を決め込むメインバンク「白水銀行」だった。序盤らしく、わりと簡単に倒せる敵だったので、さしずめ"ザコキャラ"といったところだろう。

この作品はゲームの中でもRPG(ロールプレイングゲーム)に近い。航平は敵の「ナカシマ工業」を倒す際、辣腕弁護士の神谷修一(恵俊彰)らの力を借りた。RPGにも味方の存在は不可欠だ。味方の優劣が勝敗までを決めるのは御存じの通りである。

ストーリーが進むにつれて内容が複雑化し、仲間に敵が紛れ込む怖れすらあるのもRPGの特徴。この作品もそうだ。

3話では「佃製作所」内に不協和音が生じ始め、技術開発部の若手エンジニア・真野賢作(山崎育三郎)らが航平の方針に異を唱え始めた。また、やはりRPGと同じく、強敵として、ロケットの自社開発を目指す超大手企業「帝国重工」が立ち塞がる。

RPGに通じるとはいえ、作品全体の質が高いから、いわゆる"クソゲー"の類ではない。原作者の池井戸潤氏(52)が希代のストーリーテラーで、元銀行マンとしてビジネスの現場も熟知している上、演出する福澤克雄ディレクター(51)らが原作の面白さを映像で忠実に再現しようとしているからだろう。八津氏の脚本もテンポが良く、手に汗握らせる。

この3人が2年前の『半沢直樹』と同じ面々なのは知られている通り。いま振り返ると『半沢直樹』もRPGに近かった。半沢直樹(堺雅人)が支店長の浅野(石丸幹二)や大和田常務(香川照之)らの敵を次々と倒していったのだから。その際、同期の仲間・渡真利(及川光博)らの力を借りた点も共通する。

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