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開発者が明かす「儲かるアプリ」の作り方
iPhone15万本×Android3万本
指でなぞって入力する。入力した文字の修正も可能だ 〔PHOTO〕船元康子(以下同)手書きメモアプリ「SpeedText」の画面。メモをリストにして保存でき、PC向けメモサービス「Evernote」との連携も可能だ

 iPhoneで大人気のアプリケーションが15万本を超えた。一方、NTTドコモのXperiaなどで利用できるAndroidアプリケーションも3万本を突破した。アプリビジネスが盛り上がるなか、"アプリ長者"の素顔と成功の極意に迫った!

「公開して3日目には売り上げランキングでトップになりました。それから一日1000本くらいのペースで売れ続けて、1週間で売り上げは数十万円に。正直、ビックリしました」

 そう語るのは、iPhoneアプリ「SpeedText」を開発した広部一弥氏(35)だ。SpeedTextは、iPhoneで手書きのメモをとることができる230円の有料アプリで、昨年6月に公開後、10ヵ月あまりで10万本ダウンロードされた。

 売上高は、発売時に半額セールを行った分を差し引いても、軽く1000万円を超えた。

 '08年7月、アップルが誰でもiPhoneアプリを販売できるApp Storeを開設して以降、広部氏のようにアプリ販売で儲ける"アプリ長者"が次々と出現している。

 そして、近年、この動きがiPhoneにかぎらず、さらに拡大しそうな勢いを見せているのだ。携帯電話に詳しい武蔵野学院大学准教授の木暮祐一氏は、こう解説する。

「iPhoneアプリが利用できる端末が、世界で5000万台を超え、アプリのダウンロード数も30億本を突破しました。また、今月頭にはグーグルのAndroidを搭載したNTTドコモのXperiaが発売され、今月末にはiPadの国内販売も始まります。個人や企業がアプリ開発に続々と参入するなど、アプリ市場が旬を迎えているのです」

 いったいアプリ長者は、どうやって儲けているのか。人気アプリの開発者にそのヒミツを聞いてみた。

アプリ販売を極める

 前出の広部氏は、名古屋大学大学院に通う学生で、開発のきっかけは、研究に使う自分用のメモが欲しかったからである。

名古屋大学大学院の博士課程に在籍する広部一弥氏 出身:福井県 家族:独身 前職:SE(会社員) 座右の銘:一期一会 
気になるアプリ:「TiltShift Generator」今後の予定:米国中心に売りたい。iPadアプリの開発にチャレンジしたい。

 広部氏は、思いついたことを何でも紙に書き出すメモ魔だったのだが、そのメモをよく紛失してしまう"なくし魔"でもあった。そんなある日、「どうせなくすから、iPhoneでメモを管理すればいい」とひらめいた。

 だが、App Storeを探しても、使い勝手のいいアプリはなかった。

「iPhoneアプリって、自分でも作れるのかな・・・」

 そんなつぶやきをTwitterにしたのが発端となった。それを読んだ友人が開発方法を教えてくれたのだ。

〈iPhoneアプリは、Macに無料の開発ツールをインストールして、開発者の登録をすれば誰でも公開できる。有料アプリは1回限りの売り切りで、販売額の7割が開発者の取り分。世界各国で売ることができ、売れた分は円換算されて口座に振り込まれる─〉

 そうした話に触発された広部氏は、MacBookを購入し、1ヵ月かけて、iPhoneアプリに取り組んだ。そして開発したのが、SpeedTextだ。

「最初にメモを見やすく撮影できるアプリを作ったのですが、これがさっぱり売れませんでした。第2弾として考えたのが、手書きメモ。紙もいらないし、カメラで撮影する必要もない。手書きなので、ソフトキーボードを押し間違えることもなく、変換の手間もかからない」

 既存のメモアプリにこうした不満を感じていた人は多かったようで、公開後、すぐに高評価のコメントが続いた。それを受けてか、販売ランキングはみるみる上がり、3週間連続でトップ10に入った。

iPhoneアプリ「阿修羅」の画面。阿修羅は仏法を守護する八神「八部衆」の中の一神。戦いの神だ

「売れたことにも驚きましたが、iTunesの有名アーティストと同じように自分のアプリがランキングされたことがうれしかった」と広部氏。もっとも、しばらくするとランキングは100位以下に落ちてしまう。

 似たアプリを開発するライバルが現れ、そちらの人気が出たためだ。評価されるうれしさと負ける悔しさを感じた広部氏は、その後、使い勝手を向上させたバージョンアップ版を10回ほど公開し続けていく。前出の木暮氏は語る。

「バージョンアップによって、ランキングが上がることは多いんです。15万本のアプリの中から購入してもらうには、ランキング上位にいることが大切。自分のブログやSNSで紹介して注目度を高めるといった工夫もポイントです」

 アプリ開発にすっかりハマった広部氏は、大学の研究テーマもiPhone開発に変えようかと迷っているほど。ちなみにアプリ販売で得た"臨時収入"は、学費と生活費に充てているとか。

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