暗雲垂れ込めるEU
〜「極右」の台頭と「域内格差」の拡大

その苦難の道のりから日本は何を学ぶべきか?
欧州議会で、難民問題における「結束」を呼びかけた独仏両首相 〔PHOTO〕gettyimages

ヨーロッパが辿った苦難の道のり

今、ヨーロッパが揺れている。

20世紀の第一次、第二次の世界大戦は、いずれもヨーロッパが震源地である。とくに、ドイツとフランスの争いが背景にある。

1945年、第二次世界大戦が終わったとき、ヨーロッパでは、二度と戦争を繰り返さないためにどうすればよいのか、とくにドイツとフランス両国の知識人や政治家が真剣に考えた。ジャン・モネ、ロベール・シューマン、コンラート・アデナウアーらである。

彼らは、独仏の対立が両国の国境沿いのアルザス、ロレーヌ、ザール、ルールの石炭や鉄鋼という資源をめぐる争奪にあるという認識の下、これら資源をヨーロッパで共同管理することを考えた。

こうして発足したのが、ベルギー、フランス、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、西ドイツの6ヵ国による欧州石炭鉄鋼共同体(1951年のパリ条約により、翌1952年に発足)であり、次いで1957年のローマ条約によって欧州原子力共同体、欧州経済共同体がスタートした。

それが、1967年には、石炭鉄鋼と原子力は欧州経済共同体(EEC)に統合され、その後も拡大と深化を続け、1993年には28の主権国家からなる欧州連合(EU)が発足した。1999年には、通貨同盟であるユーロ圏が誕生した。

ヨーロッパが辿ったこの苦難の道のりを振り返ると、「戦争と国境の無い世界」を作ろうという努力には頭が下がるし、世界の他の地域にとっても参考になる。

1989年にはベルリンの壁が崩壊し、米ソ冷戦が終わり、東西に分かれていたドイツも統一した。EUはいまや、世界の中で、アメリカと匹敵する大きな政治的・経済的存在となっている。