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米軍ついに南シナ海へ! 中国政界激震、習近平は「二つのメンツ」を失った
緊迫の東アジア情勢を読み解く
米海軍のイージス艦「ラッセン」(右) 〔PHOTO〕gettyimages

アメリカ軍がようやく実力行使

10月27日、アメリカ軍がついに南シナ海に進軍した。横須賀基地に配備しているイージス駆逐艦「ラッセン」を、中国が自国の領土と主張しているスプラトリー(南沙)諸島のミスチーフ(美済)岩礁とスービ(渚碧)岩礁の12海里(約22㎞)内に航行させたのである。

この件について、ある日本政府関係者に聞くと、次のように述べた。

「やや遅きに失した感があったが、ようやくアメリカ軍が実力行使に出てくれた。今回は、三つの意味で価値ある行動だった。

第一は、アメリカが南シナ海を守るという意思表示をしたことで、日本や東南アジアなど中国の台頭を懸念する国々を、ひとまず安心させたことだ。

二つ目は、アメリカ軍に対応する中国軍の動きを確かめられたことだ。人民解放軍がどの軍港からどんな艦艇をどのくらいの規模で出すのかということは、実際にアメリカが南シナ海に進入するまで不明だった(いくつかの予測は立てていた)。

三つ目は、アメリカ軍が『航行の自由作戦』を継続させると宣言していることだ。われわれとしては、アメリカ軍に毎日でも入ってもらいたい。そして理想を言えば、早く中国の不法な建造物を、特に物騒な三つの軍用滑走路を破壊してほしいが、さすがにアメリカも、そこまではしないだろう」

米の「領海侵犯」に対抗できなかった習近平

今回のアメリカ軍の実力行使を北京の側から見ると、現代の「皇帝」である習近平主席は、二つの意味でメンツを失った。

一つは、中国共産党トップ(党中央総書記)としてのメンツである。

中国は10月26日から29日まで、「5中全会」(中国共産党第18期中央委員会第5回全体会議)を開催中だった。これは、習近平主席が主催し、中国共産党8779万人のトップ約355人が一堂に会して行われた、年に一度の重要会議である。

場所は、北京西郊にある人民解放軍総参謀部が経営する京西賓館。私も一度訪れたことがあるが、警備がものものしい、まさに要塞のようなホテルで、全576席の荘厳な大会議場がある。

だが今回の「5中全会」は、3つの点で、決して楽観的で明るい会議とはならなかった。