ビジネスパーソン必読!佐々木常夫が説く「手紙」の効用

あなたの「人間力」を伝える最強の武器になる
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「手紙」というと、あらたまった感じがして苦手な人もいるかもしれない。特に若い世代ほど、メールやLINEなどオンライン上のやりとりで十分と感じているだろう。

しかし、ビジネスパーソンに絶大な人気を持ち、「ワークライフバランス」のパイオニアでもある佐々木常夫さん(元・東レ経営研究所社長)は、手紙を書くことの圧倒的な「効用」を説く。メールと手紙は、いったい何がちがうのか? なぜビジネスマンは手紙を書くべきなのか? 

「手紙」だから書けること

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』という本はビジネスマンならご存じでしょう。キングスレイ・ウォードというカナダ人の経営者が、自分の長い人生の経験から学んだ知恵やノウハウの集積を、会社を引き継ぐ自分の息子に伝えるために書いた30通の手紙が一冊になった本です。

私がこの本に出会ったのは課長になった頃でした。読み返すたびに新たな教訓を汲み取れる、ビジネスの指針書です。この本は世界中でヒットし、日本でも140万人もの読者に読まれているミリオンセラーです。

私がこの本で一番心に響いたポイントは「父親とはかくも優しい存在なのか!」という感動でした。私の父は、私が6歳の時に31歳という若さで亡くなりました。私は父親という存在がどういうものか知らなかったんです。

だから、会社を息子に引き継ぐために、成功のノウハウやテクニックだけでなく、部下との付き合い方、結婚のことや人生観まで、人間が生きていくための原点となる話を、懸命に息子に伝えようとする情の厚さにあふれた手紙の数々に心を揺さぶられたのです。

この本がもし、ただビジネスの知識を書いた本なら、どんなに内容が素晴らしくても、おそらくミリオンセラーにはならなかったでしょう。この本は「手紙」というスタイルだったからこそ、多くの人の心をつかんだのだと思います。

たとえば、部下に対して面と向かって、「キミ、結婚というのは、こういうものなんだよ」などというアドバイスなんて、普通しませんよね。もしいたとしたら、その人は相当ズレていますね(笑)。

ところが、口頭では伝わらないのに、手紙なら違和感なく伝えることができるのです。

手紙のよいところのひとつは、「気恥ずかしいことでも伝えることができる」ことです。口では言えないことも、手紙でなら言うことができます。こうしたやり取りは、結果として二人の間の距離を縮めることができます。