おとぎ話と笑うなかれ
「宇宙の輪廻転生」を解く壮大な挑戦が始まった!

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 (文・横山順一)

過去と未来をつなぐ

6年越しで執筆を進めて来た拙著『輪廻する宇宙』(講談社ブルーバックス)が、紆余曲折の末ようやく上梓の運びとなった。これは宇宙のはじまりと終わりを現代物理学によって結びつけて宇宙を再生しよう、という遠大なテーマのはなしである。

現在の宇宙は誕生後138億年の時間を経ていることが、今世紀になってからの観測の進歩によってようやくわかった。私が研究を始めた四半世紀前には、宇宙の年齢は70億年から150億年の間くらいであろう、という程度のことしかわかっていなかったので、この間に観測的宇宙論は飛躍的な進歩を遂げたことになる。

宇宙の中身に関する研究も大いに進んだ。アインシュタインの一般相対性理論によると、宇宙の時空間の幾何学的構造は宇宙に存在する物質のエネルギーによって規定される。わたしたちの宇宙には、人体や天体を構成する元素のほかに「ダークマター」と呼ばれる光では見えない未知の物質が多量に存在することは、すでに1930年代から知られていた。

元素もダークマターも万有引力の法則に従って、引力を及ぼし合うので、たとえ宇宙がはじめにビッグバンによって膨張を開始したとしても、この引力に引っ張られて膨張のスピードは徐々に緩まっていくはずである。

ところが、遠方の超新星をはじめとするさまざまな観測の結果、宇宙膨張はスピードアップしていること、つまり宇宙は加速膨張をしていることが前世紀末に判明した。そして、ダークマターのほかに、万有引力ではなく、反発力を及ぼす「ダークエネルギー」と呼ばれる未知のエネルギーが、ダークマターの3倍以上も存在することが明らかになった。

以上の結果は、宇宙がビッグバンを起こしてから38万年後に発生し、400億光年の彼方から飛来する宇宙マイクロ波背景放射をはじめとして、遠方の多数の超新星や銀河を観測して得られた結論である。