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追い込まれた中国の「大胆な金利引き下げ」〜世界経済に与える影響はいかに
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中国はどこまで本気なのか?

10月23日、中国人民銀行は、一連の金利引き下げを発表した。具体的には預金金利の上限をなくし、貸出金利を0.25%引き下げるとともに、預金準備率も引き下げた。

今回の金融緩和の目的は、貸し出し意欲の刺激と資金流出への対応による景気下支えだ。それに加えて、金融の自由化を進め、新常態下での改革の方向性を示す意図も含まれている。今後も、景気支援を目的に、さらなる利下げや自由化が進む可能性は高い。

こうした対策が、中国国内の一部の資産価格に影響を与えることが想定される。全体的な経済の動きは弱含みやすいが、不動産などの反発が今後の株価、為替レートにどう影響するか、注意深く中国経済を見守る必要がある。

中国人民銀行が金融緩和を打ち出した理由は、景気の減速を食い止めたいからだ。逆に言えば、緩和策実施に「追い込まれた」ということだ。石炭や鉄鋼業界での過剰な生産設備の問題もあり、財政支出を打ち出してインフラ開発を大々的に進めることは容易ではない。そのため、これからも金融政策への依存度は高まるだろう。

19日に発表された実質GDP(国内総生産)成長率の落ち込みは、利下げに大きく影響した可能性がある。第3四半期の成長率は前年同期比で6.9%、2009年第1四半期以来の6%台の成長率に落ち込んだ。

7%前後の成長率目標を達成するという意思を示すためにも、景気刺激への強い姿勢を示すことは重要だ。

9月の消費者物価(CPI)の伸び率は前年比1.6%、生産者物価指数(PPI)はマイナス5.9%と、物価も低迷している。9月の輸入は前年比マイナス20.4%となり、市場予想以上に弱い内容だった。中国のマクロ経済は依然弱いことは明らかだ。そのため潜在的に利下げ期待が高まりやすい状況も続いている。

景気支援に加え、今後5年間の経済運営計画をまとめる「五中全会」を控え、金融の緩和や自由化という改革の方針を内外に示すことも、利下げの重要な動機だろう。

また、ロンドン訪問中の習近平国家主席が「新常態下の中国経済はハードランディングに直面しない」との見方を示したことも影響しているはずだ。