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イギリスが乗った「危険な外交ゲーム」の幕開けに、習近平の高笑いが止まらない!

英米の仲を分断する中国の露骨な「アメとムチ」
エリザベス女王と習近平国家主席。英国は文字通り国を挙げて習近平を歓待した〔photo〕gettyimages

 「中国流」を国際規範に!

中国の習近平国家主席が英国を国賓として訪問し、両国は英中関係の「黄金時代」到来を謳い上げた。

10月23日まで4日間の滞在中、中国企業の英国での原発建設参入を含む総額400億ポンド(約7兆4000億円)の大型商談が結ばれた。キャメロン英保守党政権が、中国の露骨な「アメとムチ」外交を前に、人権問題や南シナ海情勢などで対中批判を封印した成果である。

米国の最大の同盟国である英国が始めた危険な外交ゲームは、米中のパワーバランスだけでなく、流動化する国際秩序の行方にも影響を及ぼしそうだ。

習氏の訪英は、中国の対欧米外交では前例のないほど将来への楽観的なメッセージに満ちたものだった。英国は「中国の西側でのベストパートナーになる」(オズボーン財務相)と言い切り、習氏は英中関係を「グローバルな包括的・戦略的パートナーシップ」と呼んでみせた。

習氏訪英の秘められた狙いを端的に表現したのは、中国・環球時報の次の記述だろう。

「英国の態度は中国と西側諸国の心理的境界を破るものだ。それは新たな政治的関係を予言するものである」

中国は自らになびいてきた英国を突破口にし、国際社会のメインストリームでの地位、影響力を高めたいと考えているのだろう。それは、「中国流」を国際規範に繰り込むための重要なステップである。

一方で見逃せないのは、今回の訪英が中国にとってある種、「歴史のトラウマ」を癒す意味を持ったことだ。

中国にとって英国は、アヘン戦争(1840年)により「屈辱の世紀」をもたらした張本人である。香港は1997年に返還されるまで155年にわたって英国に統治された。

その英国が今回、王室メンバーをフル動員して「最大級のもてなし(the reddest of red carpets)」(英フィナンシャルタイムズ、FT)で習夫妻を歓迎した。