中国日本人拘束「スパイ疑惑」の余波〜官僚たちが踏み入れた冷酷な「諜報戦」の行方
公安を知り尽くした男が明かす、スクープルポ第二弾!
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菅官房長官の「焦り」

長年にわたり公安警察取材を続けてきたTBSキャスターで、自身2作目となる小説『マルトク 特別協力者 警視庁公安部外事二課』を上梓した竹内明氏が、中国での日本人拘束事件の真相を明かす。水面下で繰り広げられる「日中諜報戦争」を描いた、スクープルポ。その後編をお届けする−−

(前編はこちらから)

日本人拘束問題が報じられた直後、菅官房長官は「我が国として、スパイ行為は絶対にしていない」と語気を強めた。

常に冷静な菅官房長官が、質問を否定するときに「絶対に……」という言葉を発するのは異例だ。何が何でも「スパイ疑惑」を打ち消したいという心情が吐露された瞬間と言ってもいいだろう。

「菅長官の頭の中には、いま政府が準備中の『国際テロ情報収集ユニット』のことがあったのではないか」

ある官邸幹部はこう推測する。

イスラム過激派によるテロ対策を目的とするこのユニットは、外務省傘下に置かれる。東南アジア、南アジア、中東、アフリカの四班体制で、専門職員を在外公館に派遣して情報収集を行うという。

しかし、安倍政権と官僚たちは、この組織の任務をテロ対策情報収集から、「日本版MI-6」に形を変えることを目論んでいる。MI-6とは、イギリス外務省の下に置かれた対外諜報機関。あの「007」が所属しているという設定されている組織だ。

「安倍政権としては、安保法制への世論の反発が消えるまで、対外情報機関の設置など一切口に出せない。でも、アルジェリアやシリアで日本人がイスラム過激派の犠牲になったあとだから、テロ情報を収集するための組織からスタートしておけば、その必要性を痛感している国民の理解を得やすいはずだ」(警察庁幹部)