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ラグビーW杯戦士たちよ、ありがとう!「それぞれの旅立ち」、2019年にまた会おう

主将リーチ・マイケル、藤田慶和、堀江翔太、松島幸太郎……
〔PHOTO〕gettyimages

エディに反発する選手もいた

4月から160日間も一緒にいた男たちは、英国から帰国後、それぞれ所属先に戻った。チームを束ねてきたリーチ・マイケル主将(27歳)は、つい本音をもらした。

「体はボロボロです。しばらく、奥さんと子供と過ごしたい。(札幌山の手高時代に過ごした)札幌に行って、温泉につかりたい」

'12年のエディ・ジャパン発足当時から代表に選ばれ、'14年から主将を任されたリーチは、31人中10人を占めた外国出身選手と日本人選手のつなぎ役を担った。日本国籍も取得したリーチが、『君が代』の歌詞の意味から指導。外国籍選手に、日本代表への忠誠心を植え付けた。

結果を出したいために選手に猛練習を課し続けたエディ・ジョーンズヘッドコーチ(HC)と、不満をもらす選手の狭間で、リーチは何とかバランスをとろうと苦労した。

6月は連日、一日4回練習と熾烈を極め、選手たちの疲れはピークに達した。その事実を、スーパーラグビー(SR)で活動中のニュージーランドで聞きつけた田中史朗は、不満を言いきれない選手たちの思いを代弁しようと、7月の代表合流時にエディHCに直談判する。

「みんなすごく疲れているし、違ったやり方もあるんじゃないですか」

思ったことをストレートに口にする田中は、プレー面でおかしいと思った選手に、摩擦をおそれずに指摘する。心優しいリーチは、そのことを当該選手に少しでもやわらかく伝えようとして、田中から「お前は甘い」と指摘され、険悪なムードが漂うこともあった。

勝ちたい、という情熱で時に高圧的な態度になるエディHCと、不満がありながらはき出せない選手たち。その間にいたリーチは「俺が仕切れる部分を増やしたい」とひそかに考えていた。