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五郎丸歩 独占インタビュー!ラグビーW杯、「恐怖心」と戦った4年間〜そのすべてを明かす
ラグビーの歴史を変えた男の知られざる戦い
〔PHOTO〕gettyimages

ポーカーフェースにこだわる男が、ピッチで肩を震わせ、泣いた。初体験だったW杯は、心身をすり減らす壮絶な戦いだった。伝説となった男が、知られざる戦いを、本誌に余すことなく明かす。

南ア戦直前に見た「悪夢」

「憧れられる存在になる」

「勝つ文化を作る」

このミッションを4年間追い続け、W杯で日本は初めて3勝できました。帰国後、何よりびっくりしたのは、タクシーに乗ったとき。料金を支払おうとしたら、運転手の方から「結構です」と断られたのです。「そのかわり、一緒に写真をお願いします」と。

結果を出したことで、僕をはじめ、ラグビー日本代表を認知していただけたことを実感し、非常に幸せに感じた瞬間でした。

僕は幸い4試合すべてに出場できて、58得点。キックを決めても、相手に隙を見せないよう、ポーカーフェースを心掛けましたが、実は「恐怖心」という見えない敵と戦っていました。

19歳で日本代表に選ばれてから10年で初めて経験するW杯で、自分の納得いくプレーができるのか。'19年に日本で開催されるW杯を盛り上げるため、「ベスト8入り」という目標を是が非でも達成し、低迷気味だったラグビー人気を復活させる起爆剤にしたい、というプレッシャーとの戦いでした。

特にしんどかったのは、W杯初戦となった9月19日の南アフリカ戦を迎える4〜5日前。夜は眠れましたが、必ず夢を見ました。1次リーグで全敗して、帰国する夢なんです。目が覚めると、さすがに憂鬱な気持ちになりました。

日本代表は過去7大会に出場し、わずか1勝。その屈辱の歴史を変えるため、就任したエディ・ジョーンズヘッドコーチの厳しい練習に耐えてきた。もう一度やれ、といわれても無理です。それほど心身ともに負荷のかかった練習を乗り越えたからこそ、「結果を残したい」という思いが募りました。

寝苦しい夜をすごしていた頃、イングランド代表の主将経験のある、ボーズウィックFWコーチからこう諭されました。

「W杯は、楽しまなきゃ」