なぜ新聞社はツイッターを恐れるのか
ITジャーナリスト・佐々木俊尚インタビュー vol.3

vol.2 はこちらをご覧ください。

田原 民主党の小沢幹事長の「政治とカネ」の問題では、新聞・テレビ・雑誌の論調とネット上のそれはずいぶん乖離がありました。
  既存のメディアは大半が小沢氏に批判的だったのに、ネットは逆に検察に批判的でした。なぜ両者に開きが出るのでしょうか。

佐々木 ちょうど先日、毎日新聞が「政治とカネ」に関する報道について、同社の「開かれた新聞」委員会というオンブズマンによる検証記事を掲載していました。
  上智大学の田島泰彦教授やノンフィクション作家の吉永みち子さんなどがこぞって検察リークに基づく報道を批判しています。
  しかし新聞側は一貫して「リークはない」という言い続けている。さらに、検察捜査自体が正当な捜査なのかどうかという可能性には一切言及していません。もっと突き詰めて言えば、記者クラブの開放問題もそう。民主党政権になってからこの問題についてほとんど報道していない。
  しかしネット側では、記者クラブ問題もジャーナリストの上杉隆さんが積極的に発言したことなどをきっかけに徹底的に議論が広がっている。それから検察捜査に関しても、「検察と小沢のどちらが正義なのかは分からない。しかし、事態は明らかに検察対小沢というのは政治闘争になっている。
  それなのに検察側に一方的に与して報道するマスメディアってどうなんだ? 小沢と検察とバランスよく報じるべきじゃないか」という声が圧倒的に多かったんです。

郷原弁護士を出すなという圧力

田原 『サンデープロジェクト』は検察批判、リーク問題をやっていました。『サンプロ』には元検察官の郷原信郎弁護士が出ていた。検察捜査に批判的な郷原さんは、他のテレビ、他の番組には一切でない。なぜか。テレビ局が出さないからです。

佐々木 なるほど。

田原 「サンデープロジェクトも郷原を出すな」という圧力が来ていた。

佐々木 そうなんですか?

田原 もちろん。
  だけど僕は、「誰を出そうと勝手だ。文句を言うな」とはねつけました。じゃあなぜテレビ局が、郷原さんをどの番組にも出さないようにしたか。郷原さんを出したら、その局の司法記者に検察が意地悪して取材させないからです。
  新聞を見ると小沢さんについての記事で検察側の情報については「関係者によれば」と書いてある。明らかに検察情報ですよね。僕はベテランの新聞記者に聞いたんです。検察官の個人名は書けないだろうがが、なぜ「検察関係者」と書けないのかって。

佐々木 新聞社の公式見解的に言うと、「関係者が少なくて特定されやすいから」じゃないですか。

田原 全然違う。「検察関係者」と書くと、その新聞社が検察を出入り禁止になって取材できなくなるからだというんです。

佐々木 警察に関しては、いまは「警察関係者」って書いていますね。

田原 そうです。ただ検察が扱う事件に関しては、情報源は検察しかないじゃないですか。だから新聞は情報源をボカすために「関係者によれば」と書くんです。
  「恥ずかしいぞ」って僕は言ったんです。「なんで検察関係者って書けないんだ」って。そうしたらやっぱり「書いたら取材できなくなる」だって。
  彼らが「検察のリークじゃない」と言うのなら、じゃあ検察関係者からの情報のウラを取ったのか? 取ってませんよ。検察関係者が言った内容を、小沢一郎にぶつけて取材しているか。あるいは小沢一郎に極めて近いところに取材して反論を書いているか。なんにも書いていません。こんなの「リーク」に乗っかっているだけですよ。

佐々木 そうです。岸井成格さんが「リークじゃない。検察官の顔色を読んで書いているんだ」と言っていましたけど、ネタをぶつけて相手の顔色を読むというのは特捜部長とか副部長に当てるときの話なんです。実際に記者がその材料をガサッと抜いてくるネタ元がヒラ検事クラスにいるわけです。その話には一切触れないで、最終的に特捜部長などに当てるときの話をしているんです。

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