裏社会
山口組分裂「最終決戦」!〜ジャーナリスト・溝口敦氏が読み解く抗争の行方

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山口組の分裂は、今年最大のニュースと言ってもいいだろう。長年山口組をウォッチし続けてきたジャーナリストの溝口敦氏が、分裂の真相と山口組の内情を記した『山口組動乱‼』を緊急刊行した。日本最大の暴力団組織で、いま何が起きているのか。抗争の行方は。溝口氏が読み解く!

「司幕府」樹立計画

山口組は大正4年(1915年)に初代・山口春吉によって神戸市兵庫区に設立され、2015年が創立100年だった。

なぜ山口組は創立100年にして二派に分裂する危機を迎えたのか。分裂劇の根底には「司─高山路線」に埋め込まれた「司幕府」樹立の考えが陰を落としている(高は本来はいわゆる「はしごだか」。司幕府とは何か。弘道会に太いパイプを持つ愛知県警の捜査関係者がかつてこう語っていた。

「司組長時代の弘道会では、長いこと司組長が任俠道の夢を語り、それを高山若頭が着々と実現していくという態勢を取っていた。この態勢は司組長が山口組の六代目になっても、刑務所の中に入っても(司組長は組長就任後の05年12月から11年4月まで銃刀法違反罪で大阪拘置所、府中刑務所で服役)、変わるものじゃなかった。

司組長の夢とは天下統一と司幕府の創設です。一身に織田信長と豊臣秀吉、徳川家康を兼ねたい。弘道会はまず名古屋と愛知県を統一した。次に山口組の本丸を取った。次にすべきことは上洛ならぬ上京です。首都に軍を進めて天下に大号令する。

東京の國粹会(関東二十日会加盟団体だったが、05年山口組の傘下に入った)に起きたことは、これです。天下統一を目指す一つの過程として、住吉会系小林会幹部射殺事件(07年2月、東京・西麻布で山口組に移籍の國粹会が射殺)も起きた。

では、なんのための天下統一なのか。ヤクザ界の平和共存のためです。もう互いに相争う時代ではない。争わずにすむよう統一政権を樹立する。これ以上、警察の餌食になるのはバカらしい。司組長の任俠道はこれほど気宇壮大、長期的な未来を見据えたものなんです」

およそ捜査関係者が吐く言葉とは思えないが、捜査関係者を心服させるほど、司、高山による司幕府樹立の思いは真剣だったのかもしれない。