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徹底検証!天下の「VW」はなぜ地に堕ちてしまったのか
自動車評論家・清水和夫が読み解く不正事件の真相

9月18日、世界の自動車業界を揺るがす空前絶後の大事件が起きた。VWがディーゼルの排ガス規制を不正に逃れる違法ソフト、ディフィート・デバイス(無効化機能)を搭載していたことが発覚したのだ。

米国での対象車種は48万2000台と発表されたがその後、欧州市場でも行っていたことがわかり、VWグループ全体で約1100万台。VWは、いったいなぜこんなことをしたのか? 自動車評論家の清水和夫が斬る!

VW事件のはじまり

フランクフルトショーのプレスディが終わり、ほっとしている時にアメリカからメガトン級のバッドニュースが舞い込んだ。なんと世界でもっとも信頼できるVWがディーゼル車の排ガス試験で不正行為があったというのだ。

VWは'02年頃からアメリカでディーゼル車を販売してきたので、それなりにディーゼルの実績はあったはずだ。実際に環境保護局(EPA)発表の燃費ランキングでもハイブリッドのプリウスやインサイトに迫っていたので、VWはディーゼルでアメリカ市場を攻めることに熱心だった。

しかし、'08年から施行された連邦排ガス基準「Tier2Bin5」はとくに窒素酸化物NOxの規制値が非常に厳しく、この排ガス基準をクリアするためには、さまざまな技術が必要となった。

当時は私も含めてディーゼルに詳しい専門家は誰が最初にTier2Bin5をクリアするのかということに話題が集まっていた。ホンダも日産も三菱もチャレンジすると公言していたし、メルセデスやアウディも北米向けディーゼルの開発に熱心だった。

世界でもっともNOx規制が厳しいアメリカで認可されてこそ、クリーンディーゼル世界一の名誉となる。同じ頃日本でもポスト新長期規制が施行されたが、NOx規制値はアメリカの2倍も緩かったのだ。

VWも当然、Tier2Bin5にターゲットを絞り、クリーンディーゼルの開発を行っていた。そしてついにコスト的にも厳しいゴルフクラスでは初めてアメリカの厳しい規制をクリアしたのだ。

'08年頃の私が書いた記事は「VWゴルフがアメリカの厳しい規制をクリアし、'09年頃はアメリカでもディーゼル車の評判が高まるだろう」とレポートした。その予言は的中し、原油価格が高まった時にVWのディーゼル車はよく売れた。

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