金融・投資・マーケット
銀行に人生設計を「お任せ」するのはやめなさい! ~「職場NISA」「企業型DC」の正しい運用法を教えよう
〔PHOTO〕gettyimages

「職場NISA」で、銀行員に騙されるな!

「職場NISA」と称する、名前からして冴えない、しかも利用者側から見て醜悪なビジネスモデルがある。『日本経済新聞』(2015年10月19日朝刊)によると、みずほ銀行は、この職場NISAを170社に導入したと報じているから、それなりに普及しつつあるようだ。

職場NISAとは、金融機関(主に銀行)が取引先企業に働きかけて、社員のNISA口座を取り込もうとするスキームだ。

例えば、導入企業毎に銀行が専用のホームページを作って、社員が簡単にNISA口座を開設したり投信を購入したり出来るようにする。

金融機関側から見ると、既に別の金融機関でNISA口座を開いてしまった社員は取り込めないかも知れないが、未だNISA口座を開いていない社員をまとめて取り込むことが出来る。

会社によっては、財務部が取引銀行との関係改善を意図して、社員に職場NISAでNISA口座を開くことを奨励ないし強制することもありうる。

端的に言って、財務部が、銀行に社員を「売る」わけだ。

しかし、みずほ銀行には申し訳ないが、銀行でNISA口座を開くことは、投資家にとって少なくとも最適ではない。銀行では取り扱いがないため、目下コストが最も安い運用手段であるETF(上場型投資信託)で運用することが出来ないからだ。

日経の記事には、「企業から要望があれば、投資教育のセミナーも検討する」、「初心者向けの投信としては、運用会社が独自の判断で資産配分を変えるお任せ型ファンドや、米ブラックロックが運用する低コストのインデックス投信などをそろえている」とある。

ブラックロックが運用する低コストのインデックス投信があるのは大変いい。しかし、マネーリテラシーの乏しい利用者が「運用会社が独自の判断で資産配分を変えるお任せ型ファンド」に投資することが心配だ。

この種のファンドは、NISAの税制優遇効果を最大化できない点で、NISAには不向きだとハッキリ言えるものであると同時に、手数料が割高な運用になる。

実際にセミナーを取材していないので想像の域を出ないが、「投資教育のセミナー」では、このお任せ型ファンドが、無難で適切な商品だと思えるような「誘導」が、さりげなくなされているのだろう。

「バランス型のファンドは、税制優遇の効果を最大限に活かせない点でNISAにはハッキリ不適切ですし、そもそもお得な商品ではありません」といった投資家にとっての真実は教えないはずだ。加えて、本来は、初心者にこそ中身の把握が難しい「お任せ型」は不向きな商品なのだ。

賢い読者は、もうお分かりだろう。「職場NISA」は、主に銀行が取引関係を梃子にして取引先企業の社員を取り込み、投信の手数料をむしり取る悪だくみであり、「投資教育セミナー」は親切を装った、セールスの場なのだ。

ついでに申し上げておくと、給与振り込み口座を持っていたり、定期預金を預けていたりする個人のメインバンクで投資信託などを買うのは不適切だ。

銀行側から見て、お金の動きが丸裸であり、定期預金の満期近くといった「お金がないから」と断りにくいタイミングで、運用商品のセールスを浴びることになる。銀行員は、素人が相手をするには手強すぎるセールスマンだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら