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実は画期的! 新アベノミクスは世界の経済政策の「新潮流」になるかもしれない
聞こえてくるのは批判の声ばかりだが……
〔photo〕gettyimages

「所得倍増計画」以来の画期的な構想

安全保障関連法案の改正がようやく終わり、経済政策への関心が再び高まっている。

安倍首相は、アベノミクス第二弾として、「新三本の矢」を発表したが、その実現に向けた具体策はこれからの課題という側面が強い。現段階では、「1億総活躍社会」というキャッチフレーズばかりが独り歩きし、その本質はなかなか見えてこない。

そのため、安倍首相の保守的な政治姿勢に嫌悪感を示すマスメディアの多くが、アベノミクス第二弾についても批判的なスタンスを強めている。

だが、筆者は、今回のアベノミクス第二弾で、安倍首相は、経済政策上、画期的な構想を発表したのではないかと考えている。それは、600兆円という具体的な「名目GDP水準目標」を明示したことである。このような経済成長の目標を国民に示すのは、1960年の池田勇人内閣の「所得倍増計画」以来ではないかと思われる。

今後、実現に向けた具体策をどのように策定するかにかかっている部分も多いが、「名目GDP水準」を新たな経済政策の目標に掲げたことで、日本の経済政策は(いい意味で)新たな局面を迎える可能性がある。

しかも、この「名目GDP水準目標」は、今後の世界の経済政策の"新潮流"となる可能性があるのだ。

現在の先進主要国の経済政策の枠組みの主流は、①金融政策では、2%程度の「インフレ目標」、②財政政策面では、緊縮財政(増税、及び歳出削減)、の組み合わせである(すなわち、「金融緩和・緊縮財政」のポリシーミックス)。

アメリカやイギリスはその典型例である。また、中央銀行はECBだが、ドイツも事後的には同様のポリシーミックスの下にある。

1990年代後半以降、多くの国で、金融政策は、2%程度の適正なインフレ率の実現に割り当てられてきた(「インフレ目標政策」)。特に、リーマンショックが発生するまでは、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドがインフレ目標政策の導入で極めて安定的な経済成長を実現したことから、インフレ目標政策は金融政策の「標準モデル」となった。

一方、財政政策は、リーマンショックをきっかけとした世界的な経済危機の中で積極的な役割を果たした。だが、財政赤字の累増がもたらした過去の悲惨な歴史の教訓から、経済危機のリスクが低下した2011年頃から、先進主要国は、累増した財政赤字の削減に舵を切り、現在に至っている。

インフレ率がなかなか目標の2%近傍に到達しないことから、先進主要国では依然としてゼロ金利政策が継続中である。

特に2012年以降、回復ペースが比較的早かったイギリスでは、昨年からゼロ金利政策解除の思惑が台頭、アメリカでも今年に入ってから利上げの可能性が取り沙汰されているが、現時点においてはいずれも実現していない。両国ともインフレ率が、2%の目標から下振れて推移しているためだ。

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