雑誌 ドクターZ
税調会長交代人事に透ける安倍政権の思惑

なぜ宮沢氏が必要だったのか?
自民党税調会長に就任した宮沢洋一氏 〔PHOTO〕gettyimages

そもそも宮沢氏とは何者か

自民党税調会長が、野田毅氏から宮沢洋一氏に交代した。

この人事をめぐっては、野田氏が欧州型の軽減税率導入に慎重派で、公明党と対立。公明党との軽減税率に関する協議をすすめるため、安倍晋三首相が「聖域」だった税調の人事をいじくったとされている。

が、実は話はそう単純ではなく、この人事には別の思惑が隠されている。

その思惑を知る鍵は、後任の宮沢氏にある。野田氏同様、財務官僚の出身だが、そもそもどんな人物なのか。

宮沢氏は華麗なる宮沢一族の一人。宮沢氏にとって、元首相の宮澤喜一氏は伯父、父の宮沢弘氏は元法相、外務大臣の岸田文雄氏はいとこである。財務省の中には宮沢一族と姻戚関係になる官僚が数多くおり、その家系図を把握しておくのが財務省関係者の必須知識になっているくらいだ。

とはいえ、'74年に大蔵省に入省した宮沢氏は、省内でメインストリームを歩んできたわけではない。金融や国際関係など、いつ政治家に転出してもいいように、すぐに穴埋めができるポストが多かった。

政治家になってからも、順風満帆とはいえない。'00年に元首相の宮澤喜一氏の地盤を引き継ぎ、初当選。この時点で'93年から政治家になっていたいとこの岸田氏には、大きく水をあけられていた。

さらに'09年総選挙では民主党の和田隆志氏に敗れた上、比例復活もならず、'10年参院に鞍替えせざるをえなかった。ちなみに和田氏は元財務官僚で、かつては宮沢氏の部下。宮沢氏には「選挙に弱い」というイメージが定着した。

その宮沢氏を今回の人事で税調会長という大役に抜擢。これは、宮沢氏の「選挙に弱い」という特徴を活かすためにほかならない。