トイレのイヤな臭いはなぜ消える?油汚れはなぜ落ちる?
悪魔のように魅力的な「表面の科学」にようこそ

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いやな臭いを消し去るには?

なぜ消臭剤でイヤな臭いが消えるのか。その答えは「表面」にあります。「表面は悪魔が創った」――ノーベル物理学賞を受賞したスイスのパウリ博士がこんな言葉を遺すほど、「表面」には多くの謎と可能性があるのです。身近な問題から、「表面の魅力」に迫りましょう。

最近は和式便器を見かけることがめっきり少なくなりました。洋式便器で男性が用を足す際にも「座ってすべき!」という意見が説得力を持ち始めています。

理由は、立って用を足すと、尿が便器や床に飛び散って、こびりついた尿が悪臭の元になるためです。

こうしたいやなにおいには消臭剤の出番ですが、なぜ消臭剤を使うといやなにおいを消すことができるのか、考えたことはありますか?

実はにおいを消し去る技術には「表面科学」が深く関わっています。

10月15日に発売された『すごいぞ! 身のまわりの表面科学 ツルツル、ピカピカ、ザラザラの不思議』(編:日本表面科学会)でも詳しく説明されている、その理屈を解きましょう。

人間が感じる四つの悪臭

人間が悪臭と感じる四大物質は、アンモニア(糞尿のにおい)トリメチルアミン(腐った魚のにおい)硫化水素(腐った卵のにおい)メチルメルカプタン(腐った玉ねぎのようなにおい)です。

これらは、動物性または植物性の食物の中のタンパク質からアミノ酸が分解して発生し、空気中にガス分子として揮発したものです。これらのにおい分子が鼻腔に入り、嗅細胞の感覚器でとらえられると、人間は悪臭と感じます。このにおい分子がなければ、私たちはにおいを感じません

におい分子をなくす方法は、大きく分けて二つあります。一つは化学的消臭法で、におい分子の形を変えて無臭にする、つまり嗅細胞の感覚器にとらえられなくするものです。アンモニアを硫酸鉄と反応させ、硫酸鉄アンモニウム塩や硫酸アンモニウムにしてしまうのが、この方法です。

もう一つは物理的消臭法で、活性炭などの表面ににおい分子を吸着させてしまう方法です。冷蔵庫の消臭剤のほとんどが、この物理的消臭法を利用しています。