【部位別・がんの特徴と摘出可能範囲】
'11年にはフランスPIP社のシリコンが、医療用に適さないということが判明し、世界的に大問題になったこともある。
「フランス製シリコンが問題になったとき、自分のシリコンがどこのものだろうと焦って調べました。製品保証書があるわけでもないし不安で一杯でしたが、結局、病院のカルテでアメリカ製のものだとわかりました。
もはや体の一部になっているシリコンが今後、変なことにならなければいいのですが……。長期間経つと、周りの組織に癒着してしまって、取り除くのも大変ですから」
常に体の中に異物があり、その異物とつき合い続けるには生涯、不安が付きまとう。
乳がんは早期発見されれば、生存率が高いがんだ。たとえば1㎝以下で発見された乳がんの10年生存率は97%。だが、胸部を失った哀しみは深い。自身の妻を乳がんで亡くしたことがきっかけで、闘病記専門の書店を立ち上げた星野史雄氏(63歳)が語る。
「他のがんに比べて、乳がんに関する闘病記は数多く出版されています。乳房を失うことのつらさ、再建の難しさなどを表現したい、読みたいという人が多いのでしょう」
星野氏は自身も、直腸、肝臓、肺とさまざまな臓器にがんを患い、現在も抗がん剤の副作用に苦しみながら5年目の闘病生活を続けている。
「私の場合、直腸の手術で肛門までは取らなかったのですが、腸が短くなったせいで、トイレが近くなるという問題があります。外で用を足しても、すぐにまた便意をもよおすことが多いので、トイレを出ても、その近辺で10分くらい待つことにしています」