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気をつけろ!ある日突然、あなたの家にも
マイナンバーで「追徴課税」

特集!知っておきたいマイナンバー裏のウラ③
〔PHOTO〕gettyimages

決して「本当の目的」が大っぴらにアナウンスされることはない。しかし、この制度のキモが「税金」にあることは明らかだ。番号通知が届いたその日から、彼らはあなたの懐に狙いを定めている。

なぜバレたんだ!

「税務調査の実施のお知らせ……?」

ある朝、いつものように新聞を取りに出た野田勝也さん(62歳・仮名)は、郵便受けに差し込まれていた茶色い封筒を目にして、思わず声を漏らした。差し出し主は〈杉並税務署〉とある。

身に覚えがないわけではなかった。今年の春に、父が亡くなった。葬儀が終わり、相続関係もすべて片付いた後、父の書斎から、ホコリを被った1㎏分の金のインゴットが見つかったのだ。この金塊の存在は、母も弟も知らなかった。全部で10本、約500万円相当のインゴットは、家族で分けることになった。

金の売却益は、本来は50万円を超えると課税されることになっているが、税務当局も監視を徹底できているわけではない。200万円以下の場合はほとんど「お咎めなし」になるはずだった。

「あの時は、オレと弟が150万円分ずつ、母が200万円分を受け取って、すぐに換金したな。でも、どうして言われなきゃならないんだ……」

マイナンバーで大口のカネの動きが捕捉されるようになって以降、出所不明の入金が当局に監視されているということを、野田さんは知らなかった。税務署は、彼の口座に突然150万円が振り込まれたことに気付いて、「この臨時収入は何だ?」と疑ってきたのである。しかもこの場合、申告をしなかったペナルティとして、税額の20%の「無申告加算税」も追徴課税されてしまう—。

「マイナンバーがすべての銀行口座と紐づけられれば、税務当局は端末上で、その人、その家族の資産や納税状況の全体像をいとも簡単に把握することができるようになります。『当局のほうが、当人よりもはるかにその人の資産を知り抜いている』ということが当たり前になるでしょう」(相続に詳しいある税理士)

いよいよ、番号通知カードの送付が始まるマイナンバー。早ければ来週中には多くの国民が、自分だけの12桁の番号を手にする。

「何やら世間では騒ぎになっているが、自分には大した影響はないだろう」

そう高をくくっていると、冒頭のシミュレーションのように、ある日突然追徴課税の知らせが送られてくるかもしれない。マイナンバーで、預貯金口座、証券口座のカネの出入りから、土地、建物といった固定資産の状況まで、あらゆる個人情報が名寄せされる時は、もう目前に迫っているのだ。

そうなれば、いままで「少しくらい見逃してよ」で通用していた税金の納付漏れも、言い逃れできなくなる。最たるものは、主婦や大学生のパート・アルバイトの収入、そしてサラリーマンやОLの副業の収入だろう。

周知の通り、扶養控除の対象となるには、年間の収入を103万円以下に抑えなければならない。しかし実際には、「妻や子供が扶養家族に入ったまま、自宅から少し離れた勤め先で年間103万円を超えて稼いでいる」といったケースはよく聞く話だ。

これまでは、勤務先を管轄する税務署が「この人はもしかして……」と怪しんだとしても、当人が扶養を受けているか否かを、役場まで問い合わせることはほぼなかった。だがこれも、マイナンバーがあれば「名寄せで追徴課税」できる。

「また、サラリーマンの中には、講演や原稿執筆などで収入を得ている人もいます。これまで税務署は、収入額の少ない人の支払調書までいちいち確認していませんでしたが、これからは、支払元が支払先の人のマイナンバーを把握しなければならないので、少額のアルバイト気分であっても必ず捕捉される。副業の収入をポケットに入れて済ませる、ということもできなくなります」(税理士の北田朝雪氏)

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