作家・有川浩さんが選ぶ「わが人生最高の10冊」
「物語」の先達たちとの幸福な出会い

憧れた作品の新シリーズを私が書くなんて

私の家では、両親が小説や漫画など、いろいろな本を無造作に部屋に置いていたので、小さい頃から本が好きで、4~5歳の頃はグリム童話をマネしたりして、お話を作って遊んでいました。

小学校に入ってからは図書室の本を夢中で読みました。1位の『だれも知らない小さな国』も小学校3年生のとき、図書室で出会った一冊です。

主人公の「セイタカサン」が山でコロボックル(小人)と巡り合うのが当時の私と同じ小学3年生。私の故郷、高知も自然が豊かだったこともあって、コロボックルは本当にいるんじゃないか、あわよくば私が第二のセイタカサンにと本気で思っていました。

いま考えると、この作品は、子供向けだからと甘くは書かれていない。細かい所をリアルに固めているからこそ、本物の物語として読者の私があそこまで信じたのだと思います。

このコロボックル物語シリーズが文庫で復刊された際に、私は解説を書かせていただきました。そのご縁で、原作者の佐藤さとるさんと対談もさせていただいたんです。

私は、コロボックル物語は、佐藤さんが生み出した日本の宝だと思っているので、「時代時代の作家が、物語を書き継いでいくことができたら素敵ですね」とお話ししました。

そうしたら佐藤さんが、「じゃ、有川さんが書いてよ」とその場でご指名を受けまして。私にとっては物語の神様のような人ですから、「これは、やるしかない!」と心に決めました。

子供の頃、憧れた作品の新シリーズを私が書くなんて、タイムスリップして昔の自分に教えても、絶対に信じないと思います(笑)。

2位の『星へ行く船』は最初、友達に借りて読んだのですが、何度も読み返したいので、お小遣いを貯めて、初めて自分で買った本です。小学6年生のときでした。

それまでは物語の世界を楽しむだけで、「作家」という存在を意識したことはなかったのですが、この本と出会って、私も「作家」になりたいと思いました。

衝撃的だったのは、著者の新井素子さんが若くしてデビューされて、小学生の私からでも、従姉妹のお姉さんみたいな存在に見えたこと。「私も素ちゃんになりたい、なれるんじゃないか」と思ったんです。

物語の主人公である19歳の女の子・あゆみちゃんが、親に反発したり、男性にドキドキしたりする瑞々しい気持ちにもとても共感して、自分に通じる物語として読んでいた気がします。