ルポ・「シリア難民キャンプ」
フォトジャーナリスト・安田菜津紀が撮った、分断される国家と家族

2009年シリア。カシオン山から首都ダマスカスの夜景を見下ろす

美しくて温かいシリア

シリア。その名前を聞いて、何を思い浮かべるだろう。激しい戦場、あふれだす難民。どのニュースを見ても、映し出されるのは乾いた大地や悲痛な顔ばかりだ。その度にもどかしくなる。それは私の記憶に残るこの国の様相が、どれも温かなものばかりだからだろう。

静かな石畳の小道、人々が絶えず行きかう活気ある市場、世界最古といわれるモスク、首都の旧市街地の構造物は「古代都市ダマスカス」として世界遺産にも登録され、シルクロードの時代が蘇ったかのような風景に触れることが出来た。

カシオン山からの夕景。人気のピクニックスポットだった

景色ばかりではない。

「大きいお札しかないのかい? いいよ、その水タダで持っていきな」といらずらっぽくウィンクしてくれた売店のおじいちゃん。「どこから来たの? 名前は何? 」と人懐っこく駆け寄ってくる子どもたち。

縁がまた縁を呼び、毎日のように誰かの家に食事に呼ばれていたことを思い出す。人に惹かれて、吸い寄せられるように何度も行き来した場所だった。

いつも滞在していたジャラマナの街で、出迎えてくれた子どもたち
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