週刊現代
60代、虚血性大腸炎で突然の入院。
病院のベッドで思い浮かぶのは、やっぱり家族のことだった

〔PHOTO〕gettyimages

猛烈な腹痛

9月23日午後7時ごろのことである。この連載の原稿(前回分)のゲラ直しを終えてホッとした直後に猛烈な腹痛に襲われた。私は仕事場の万年床にうっ伏して、身を捩った。下腹部が破裂しそうなほど痛い。トイレに行けばきっと楽になる。と思って、脂汗をかきながら便座の上でいきんでみたものの出るべきものが出ない。

こんなに激しい腹痛は11年前の夜以来だ。その時は2時間ほどで治まったが、便に鮮血が混じっていたので翌日、病院に行った。内視鏡検査の結果、大腸にポリープが見つかり、それを切除して事なきを得た。

今回も始まりは症状がよく似ていた。2時間ほど悪戦苦闘した末、やっと便が出て少し楽になった。私は眠った。前回と同じなら、朝方にはケロッとしているはずだと思いながら。

ところが午前3時前にまた激しい腹痛で目が覚めた。トイレに駆け込むと黒ずんだ血が茶碗1~2杯分出た。量が11年前の比ではない。血液の色もちがう。ああ、これはちょっとヤバイ。私は三鷹市の杏林大病院の救命救急センターに行くことにした。あそこなら十数年前から子供の急病で通いなれている。

午前4時すぎ、タクシーで救命救急センターに着いた。患者の姿はまばらだった。ふだんはもっと混んでいて2時間待ちのこともある。私はついていた。15分ほどで、頭の切れそうな若い女医が現れた。私の症状を手早くキーボードでPCに打ち込んだ後、「レントゲンと、造影剤を使ったCTスキャン検査をやります」と言った。

検査は30分ほどで済んだ。女医は私に「消化器の先生にも画像を診てもらったんですが、キョケツセイ大腸炎ですね。1週間ほど入院してもらいます」ときっぱり宣告した。「キョケツセイって?」と訊ねたら「血管に血が回らなくなることです」との返事だった。

つまり虚血性大腸炎。後で知ったが、動脈硬化の高齢者が便秘などを契機に起こしやすい病だ。希に重症化し、敗血症で死ぬこともある。治療は一定期間の絶食と食餌療法で行われる。

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