賢者の知恵
2015年10月14日(水)

妊婦死亡、流産、14歳の母親……知られざる産婦人科の現場から
~大反響漫画『透明なゆりかご』作者・沖田×華さんに聞く

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10月13日、『透明なゆりかご』の2巻が発売された。漫画家の沖田×華(おきた・ばっか)さんが産婦人科でのアルバイト体験をもとに描いた漫画だ。

今年5月に発売された1巻では、沖田さんが働いていた1997年頃、日本の本当の死因第1位が中絶だったことや、自分の子供を愛せず他人の子供と取り替えようとする母親など、ショッキングな内容が話題となった。

産婦人科のもう1つの顔を描き続ける沖田さん。今回は勤務先で起こった初めての妊婦死亡事故について話をうかがった。


その時、現場は立ち尽くした

沖田×華 (おきた・ばっか)1979年、富山県生まれ。高校卒業後、看護学校に通い、22歳まで看護師として病院に勤務。その後、風俗嬢になって富山、金沢、名古屋で働く。2008年、『こんなアホでも幸せになりたい』で漫画家として単行本デビュー。

---沖田さんのいた病院で初の妊婦死亡事故だったそうですね。今あらためて思い出されることはありますか?

ふだんと何ら変わりない分娩でした。妊婦の浜田さんは23歳で目立った既往歴もなく、妊娠も順調そのもの。双子なので分娩はすこし時間がかかるかもしれない、というくらいで、太鼓判を押してもいいくらいでした。

ところが元気に話していた3時間後に彼女は亡くなりました。本当にあっという間の出来事でした。

---死因は出血性ショックだとか。その時、分娩室はどのような様子だったのでしょう?

私はすこし離れたところで作業をしていて、急に分娩室が騒がしくなったので「何かがおかしい」と思い、様子を見に行きました。そしたら先輩の看護師さんが救急搬送の手配をしているところで……。

その場にいた人の話では、足の間から噴水のように血が出たそうです。あきらかに致死量だし、出血が止まらない。妊婦さんの顔は信じられないほど真っ白でした。顔面蒼白とはこういうことをいうのかと。

---あっという間の出来事だったとのですが、実際はどのくらい?

10分とかそれくらい。大出血を起こし、分娩室の前で待っていた旦那さんに救急搬送が決まったことを伝えた3分くらい後には、心停止していました。

心臓マッサージを続けながら救急車に乗せる時、すでに妊婦さんの目や口は半開きになっていて、これは旦那さんに見せられないな……と思いましたね。

それでも「大きな病院に行ったら助かるかもしれない」と一縷の望みをかけて輸血をするなどできる限りのことをしました。1回蘇生するも、その後搬送先の病院で死亡が確認されました。

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