新興国の株価・通貨は堅調でも、いまだ世界経済の行方を楽観視できない理由
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新興国の通貨や株式市場が堅調に推移している。10月第2週、米ドルに対してインドネシアルピアは8%超、ブラジルレアルは4%超上昇した。新興国の株式市場はおおむね6%超上昇した。

こうした動きは、米国の利上げ観測の後退に支えられている。特に、10月2日に発表された米国の非農業部門の雇用者数が市場予想を下回ったことの影響は大きい。これが、米国FRBの利上げ観測を後退させ、リスク資産の買戻しを通した相場の急反発を支えている。

依然、不安定な新興国経済

金融市場の落ち着きと裏腹に、足元の新興国経済は依然として不安定だ。多くの新興国で、これまでの景気を支えてきた輸出の持ち直しの兆候は見られない。資源価格の下落もあり、短期間で景気を立て直すことは容易ではない。

こうした動きは、本来、新興国の通貨や株価を下落させやすいはずなのだが、実際には、相場は反発している。

2013年5月、当時のFRB議長であったバーナンキ氏が、早期の量的緩和の縮小に言及した。それを境に、新興国に対する懸念は上昇した。この発言は米ドルの上昇期待を高め、景気が軟調に推移していた新興国の株や債券、通貨に対する売り圧力を高めた。

それ以降、2014年初のトルコやアルゼンチンでの通貨の暴落、今年に入ってからの人民元切り下げ、アジア通貨の下落など、弱い動きが続いてきた。金融市場だけでなく、政治や経済の動きを見ても政権に対する支持率の低迷や内需の低迷など、経済の基礎的な条件(ファンダメンタルズ)は軟調だ。

そして今回、10月2日の米雇用統計で予想を下回る雇用者数が発表され、利上げの可能性が遠のいたという見方が増えた。これが、新興国の通貨や株式を支えている。

特に、ヘッジファンドなどは過去数年間の新興国投資が裏目に出ており、ファンドからの資金流出に見舞われている。そうした動きを食い止めるためにも、この機会を利用して損失を取り戻したいと考えている投資家は多いのではないか。

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