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フザけるな!公務員だけが「幸福」になっている
~下流社会化が進む中、「上流役人」が急増中だと!?

〔PHOTO〕gettyimages

自分たちは上流だ

「正直なところ、ここまで日本の下流社会化が進行しているとは思ってもみませんでした。

'05年に『下流社会新たな階層集団の出現』という本を書いたときに、一億総中流といわれていた日本社会の均質性はもはや存在しないということを指摘しました。それから10年経って、日本社会の格差が拡大し、下流意識を持つ人がさらに増え続けているのです」

こう語るのは、社会デザイン研究家の三浦展氏だ。今回、三浦氏は三菱総合研究所の「生活者市場予測システム」という毎年3万人を対象に行われる調査をベースに、日本人の階層意識について調査を行った。

その結果を読み解くと、ある事実が明らかになったという。

「一見すると、日本社会全体で下流化が起こっていると思われるかもしれません。しかし驚くべきことに、このような一億総下流化に見える状況において、『自分の階層が上がった』という意識を持つ人たちがいることがわかりました。

それが公務員です」

世間全体が暮らしぶりが悪くなっていると感じる中で、公務員だけが「自分たちは上流だ」と思えるような幸福な暮らしをしているというのだ。

一体どういうことなのか。今回の調査結果をまとめた、三浦氏の著書『格差固定』(光文社)を詳しく見ていこう。

自分が「下流」だと考える日本人は全体の43%で、上流の14%と中流の36%を大きく上回った(残りの7%は「わからない」と回答)。

さらに、職業別に見てみると「会社員(正社員)・団体職員」の階層意識は「上」が16%、「中」が41%、「下」が38%だが、一方で「公務員」の意識は、「上」が29%もおり、「中」が46%、「下」は25%しかいなかった。

現代の日本社会においては、一部の会社経営者、役員、医師などを除けば、一番強く上流階層意識を持っているのが公務員ということだ。

とりわけ30代男性に限ってみると、正社員の45%が「下」の意識を持っているのに対して、公務員では21%と、その差は歴然としている。

「たとえば、六大学を出て新卒採用で東京都庁に入ったような男性なら、35歳くらいでパナソニックのような大企業並みの給料がもらえます。同じ庁内の女性と結婚すれば、安定した高収入が2つになり、都内にマンションを持つことだってできるでしょう。

入社以来、長い不景気を経験し、将来への不安を抱えてきた民間の会社員と比べれば、公務員がいかに安定し、恵まれた立場なのかがわかります」

雇用形態の変化により、この10年で正社員は大きく減り、非正規雇用の数が増えた。新たに下流意識を持つようになった人の中には、リストラに遭って職を失った人や、出世競争に敗北して年収が大きくダウンした人もいるだろう。

だが、公務員ではそういう経験をする人が少ない。そんな環境だからか、この10年で暮らしぶりが良くなったと感じる公務員も少なくないという。

「『階層意識がこの10年でどう変化したか』ということをみてみると、男性正社員は『上』が5ポイント減り、『下』が3ポイント増加。その一方で、男性公務員は『上』が19ポイントも増えて、『下』が10ポイント減少しました。

また、10年前に『上』の意識を持っていた公務員で現在も『上』の意識を持ち続けている人はなんと100%。正社員ではたった41%の人しかいなかったことを考えると驚くべき数字です。

公務員は自分たちの給料が民間企業に比べて下がっていないために、社会全体での格差が拡大しているという意識が少ない。実際、所得に関して格差が拡大したと感じる公務員の割合は学生と並ぶ低さでした」

三浦氏によると、民間企業サラリーマンの平均年間給与は、'97年の467万円から'08年以降は410万円前後に落ち込んでいる。しかし、例えば国家公務員の平均給与は月額約41万円(平均年齢43・3歳)で、年収でほぼ500万円と、かなり高水準だ。加えて、公務員は確実に年金をもらえるし、リストラもない。

「こんなにオイシイ条件がそろっているのですから、公務員が時代劇に登場する不遜な『お代官様』のように上流意識を持つのも当然のことかもしれません。

今回の調査を通して、公務員の上流化があまりに顕著だったため、初めはこの著書のタイトルを『役人天国』としようかと思ったほどです」

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