野球
二宮清純「『耐えて勝つ』カープ初V秘話」

外野フェンスを高くしたワケ

「実はこの騒動をきっかけに、どの球場もフェンスを高くしたんです。ファンが勝手にスタンドに降りてこないようにと……」

 そんな裏話を披露してくれたのは、V9巨人のリードオフマン柴田勲さんです。

 柴田さんが語る「この騒動」とは、1973年10月22日、甲子園での阪神-巨人戦での出来事です。このゲームに勝った方が優勝という大一番で、阪神は巨人に0対9と大敗します。

 騒動が起きたのは、試合終了直後です。阪神の大敗に激怒した虎党の一部が、フェンスを越えてグラウンドになだれ込んできたのです。

 その時の模様を、柴田さんはこう語りました。

 「僕はセンターのポジションから、もう一目散にベンチに逃げ帰ったんですが、僕よりも先にベンチになだれ込んでいる観客もいた。王貞治さんは、下駄で殴られそうになったんじゃないかな……」

 確かに、この騒動以降、観客が集団でグラウンドに乱入することはなくなりました。

 ところが、です。過日、中国新聞社発行の『赤ヘル激闘譜』という雑誌をめくっていて、あることに気が付きました。