経済・財政
安倍首相はなぜこんなに「ツイている」のか? ~ノーベル賞とTPP報道で対立ムードが吹っ飛んだ
消えた反対派、国会前は閑散
【PHOTO】gettyimages

ノーベル賞の人間ドラマにはかなわない

ついこの間までのギスギスした世間の雰囲気がウソのようだ。連夜のノーベル賞受賞ニュースは安全保障関連法をめぐる激しい対立を完全に吹き飛ばしてしまった。昼間のテレビ番組はすっかり祝賀モードである。安倍晋三政権はツイている。

明るいニュースは他にもある。難航していた環太平洋連携協定(TPP)交渉が大筋合意にこぎつけた。批判もあるが、やはり合意は喜ばしい。もしも失敗していたら「安倍政権に大打撃。政権は何をやっているんだ」という声が広がっていただろう。

スポーツ好きの私としては、さらにテニスの錦織圭選手とラグビー日本代表の活躍も加えたい。錦織選手は先の全米オープンで予想外の1回戦敗退を喫した後、大丈夫かと思っていたが、楽天ジャパンオープンですっかり復活したようだ。

時系列で確認しておこう。TPPの大筋合意が報じられたのは10月6日の各紙朝刊だ。同じ日の朝刊で大村智・北里大学特別栄誉教授のノーベル医学生理学賞受賞が報じられた。朝日新聞朝刊はTPP合意が一面トップ、大村教授の受賞は一面5段左肩の準トップという扱いである。

翌7日になると、今度は梶田隆章・東京大学宇宙研究所長のノーベル物理学賞受賞が朝日の一面トップで報じられ、内閣改造は一面左肩3段の準トップになった。ちなみに読売新聞は6日朝刊で大村教授の受賞を一面トップ、TPP合意は左肩4段で扱った(いずれも東京本社発行版)。

ノーベル賞とTPP合意なかりせば、安倍改造内閣のニュースがどうなっていたかといえば、批判的トーンが強くなっていたのではないか。他に重大ニュースがないのだから、内閣改造について掘り下げざるをえず、勢い、記事は批判的になる。

「新味がない」とか「順送り人事の復活」「そもそも1億総活躍相って何をするんだ」といった具合である。その関連で、安倍首相がぶち上げた「新3本の矢」についても「単なるスローガンを並べただけじゃないか」といった批判が加速していただろう。

ところがノーベル賞の人間ドラマにはかなわないから、内閣改造もTPPも脇へと押しやられてしまった感がある。TPPについては、批判の定番になっていたISD条項(投資家対国家の紛争解決条項)の問題も飽きられてしまったのか、ほとんど報じられなかった。

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