雑誌 ドクターZ
共産党が提唱「国民連合政府」の賛否
〜あの党との共闘はどれほど現実的なのか

志位和夫・共産党委員長〔PHOTO〕gettyimages

共産党が提唱「国民連合政府」

アリか、ナシか

共産党が唱え始めた「国民連合政府」構想は、安保法廃案を主眼に野党共闘を呼び掛ける。これを野合と批判する声もあるが、一方で「未来の政治」の始まりとの声も。どう考えるのが正しいか。

政治学の理論で、デュベルジェの法則がある。経済学のゲーム理論でも緻密に扱われていて、一つの選挙区でn人の議員を選ぶ制度の場合、n+1の政党しか長期的には存続し得ないというものだ。

たとえばn=1の小選挙区制で候補者が3人の場合。有権者の支持率が2番目の候補者は、ちょっとしたきっかけで1番目に勝てるかもしれないが、3番目の候補者の当選確率は他の2人に比べてがたんと落ちる。一番手でもなく二番手でもない第三極の政党は、もともと小選挙区制では存続するのは難しいというロジックである。

もっとも、現在の日本の小選挙区制は完全ではなく、小選挙区比例代表並立制なので、第三極の余地はある。それを踏まえるとあり得る政党のパターンは三つ。

第一に政権可能性のある自民党と民主党のような二大政党、第二に公明党のような自民党の連立パートナータイプ、第三に共産党のような比例区狙いタイプである。こうした政治理論からみれば、共産党が比例区狙いの小規模政党から、政権をとりうる民主党の連立パートナータイプに変わろうとしていることになる。

最近の共産党は、自民党が圧勝する中で、左派系の票を集めて躍進。が、その先鋭的な意見ゆえに、そろそろ頭打ちになっている。左翼の中で幅を広げたくて、安保法案で歩調の合った民主党に秋波を送っているわけだ。

日米安保のスタンスは真逆

一方、これで困ったのが民主党だ。共産党は筋金入りの左派。今まで政権とはまったく別のところで政党活動をしてきたので、基本思想は前時代的で一般人には怖いものである。

警察庁の広報誌「焦点」の'04年9月2日に発行された269号は、「警備警察50年現行警察法施行50周年記念特集号」。その中に「暴力革命の方針を堅持する日本共産党」という項目があり、共産党がかつて暴力的破壊活動を展開してきたことが書かれている。

具体的には、'04年1月の第23回党大会で党綱領改定を行ったが、「二段階革命論、統一戦線戦術といった現綱領の基本路線に変更はなく、不破議長も、改定案提案時、『綱領の基本路線は、42年間の政治的実践によって試されずみ』として、路線の正しさを強調しました」と記述。さらに、「警察としては、引き続き日本共産党の動向に重大な関心を払っています」と書いている。

共産党は、日米安保を否定している。暫定政権に参加するときには、安保問題を凍結するというが、根っこでは日米安保は廃棄である。

一方の民主党は、日米安保を認めている。岡田代表がかつて集団的自衛権の行使を認めていたとの国会議論もあった。集団的自衛権は日米安保による日米同盟の前提なので、民主党のスタンスはふらふらしているが、日米安保廃棄、集団的自衛権否定の共産党は、まったくぶれていない。

日米安保条約でもこれほど意見が違う両党が選挙協力、連立まで共闘できるのなら、「野合」であるが、同時にそれは「未来の政治」の始まりともいえるだろう。

『週刊現代」2015年10月17日号より



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