久保利英明 第1回
「司法がちゃんとしていないと、まともな国家とはいえません。だからわたしはもっと弁護士を増やせと主張しているんです」

撮影:立木義浩

<店主前曰>

久保利英明弁護士の存在感は、尋常ではない。弁護士といえば一般的には地味なスーツを着ている印象だが、久保利先生はまったく違う。鮮やかなピンクやブルーの上下といった、人目をひく出で立ちで堂々と街を闊歩し、同じ姿で法廷にも立つのだ。

はじめて久保利弁護士とお会いしたのは、ライオンの藤重会長の結婚披露宴のときである。ひと目見た瞬間、電気が走るような衝撃を受けた。わたしも色黒のほうだが、久保利先生は歌手の松崎しげるも顔色を失うほど見事に日焼けしている。そのうえ強面だ。

ところが、ひとたび笑うと、生まれ持った明るさが気前よく満面にこぼれ出す。すぐに意気投合したわたしたちは、その夜、2次会でもよく笑い、よく飲んだ。

法曹界の怪物はそれから2週間もしないうちに、新宿伊勢丹メンズ館のバー、サロン・ド・シマジに現れた。艶やかなグリーンのスーツに身を包み、真っ黒な顔をして、絶えずニコニコ笑いながら大きな声でユーモアを飛ばし、すぐにバーの人気者になってしまった。

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久保利 世の中では需要が供給を生むということとは逆に、供給が需要を生むということがあります。iPhoneなどはそのいい例でしょう。

同じ伝で、わたしはもっと弁護士を増やせと一生懸命主張しています。多くの人は使った経験がないから、それがどんなに便利なのかを知らない。オーバーフローするくらいに弁護士が大勢いれば、どんな小さなことでも気軽に相談するようになるでしょう。

いま、全国の弁護士の数と、100歳以上のご老人の数では、どちらが多いと思いますか?

シマジ それは100歳以上のご老人のほうでしょう。

久保利 その通りです。100歳以上のご老人は現在6万2000人いるんですが、弁護士はたった3万5000人しかいないんです。

シマジ ちなみにアメリカにはどれくらい弁護士がいるんですか?

久保利 約120万人と言われています。

シマジ へえー! 120万人ですか!?

久保利 しかもまだ増え続けているんですよ。