「東大理三合格」に騒いでないで、ビリオネア起業家になったハーバード大医学部教授を見習ってくれ!

2015年10月02日(金) 田村 耕太郎
ウィリアム・ハゼルタイン博士 〔PHOTO〕gettyimages

医学部教授兼ビリオネア事業家

日本では最近、自分の三人の子供たちを東大理三に現役合格させた親御さんが話題になっているらしい。私も子を持つ親として、それはそれで立派なことだと思う。

ただ、答えのあるテストを単に効率よく解くことを賞賛する風潮がまだ日本にあるのだとしたら、それにはどこか違和感を感じる。むしろ「日本で医者にしかなれないところに子供を閉じ込めた」ことを疑問視する声があったっていいのではないか。

そういう親御さんやお子さん本人に参考にしてほしいのが、ウィリアム・ハゼルタイン博士だ。世界的にも知名度の高い人物なのだが、彼のことを知っている日本人がどれぐらいいるだろうか?

ハゼルタイン博士はハーバード大学医学部の教授として、そしてエイズの研究者として名をはせた。その後、バイオテクノロジーを使った創薬企業、ヒューマンゲノムサイエンス(HGS)社を設立。DNAの解析による治療薬開発で世界に貢献した。

さらにそのHGS社を36億ドル(約4,500億円)で売却。研究者として優秀なだけではなく、学者としては異例の、ビリオンダラーカンパニーを作り上げたビリオネア事業家でもある。

私はシンガポール政府の方に博士を紹介され、それ以来お付き合いさせてもらっているのだが、日本の医学研究者、医学部生たちには、彼をこそロールモデルとしてほしい。答えのない世界に問いを立てていく作業を実践して薬を作り出し、それを事業化して多くの人を救いながら巨万の富を築いたハゼルタイン博士は、立派な目標になると思う。




COURRIER最新記事
Ranking

「クーリエ・ジャポン」 毎月25日発売

More
Close

田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。