賢者の知恵
2015年10月12日(月) 斉藤健仁

ラグビー日本代表はなぜ「世界に通用する組織」となったのか~4年後が、いまから楽しみだ

エディー・ジョーンズの緻密な強化計画を振り返る

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【PHOTO】gettyimages

南アフリカ戦は、たまたま勝てたのではない。勝つための準備をしたから、勝てたのだ。日本代表の底力を信じたエディー・ジョーンズHCは、一体どうやって 彼らの力を最大限まで引き上げることに成功したのか。『ラグビーは頭脳が9割』の著者で、現地で取材を行っている斉藤健仁氏が分析する。

エディーは未来を見ていた

後世に「ブライトンの奇跡」と呼ばれることになるのか――。

9月19日、イングランドで開催されているラグビーワールドカップ(W杯)でラグビー史だけでなく、スポーツ史にも燦然と輝くアップセットが起きた。

24年間、W杯の白星から遠ざかっていたラグビー日本代表が、予選プールでニュージーランド、オーストラリアにしか負けたことのない、W杯優勝2回を誇る南アフリカ代表を34-32で破った。

しかも、ロスタイムに、スクラムを起点にラックを連取、パスをつないで左隅にトライを挙げたのだ。胸をすくような大逆転劇。まさしく日本代表が掲げた攻撃ラグビーが体現された瞬間だった。

この勝利の裏には2012年から日本代表を率いるエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)の考え抜かれた戦術と、4年間にわたる緻密かつ丁寧な準備があった。

母も妻も日本人であるジョーンズHCは、1996年、東海大でプロのコーチングキャリアをスタートさせた。

その後、オーストラリアの監督に就任すると、2003年にはW杯で準優勝に導き、アドバイザーとして2007年W杯の南アフリカの優勝にも貢献。2011年度はサントリーを国内「2冠」に導いた名将で、まさしく世界と日本を知る唯一の指揮官だった。

4年前の就任会見では、

「W杯で全部の試合に勝つことを掲げていく。そうでないと負ける。そういったターゲットを心に持って選手はやっていかないといけないし、選手だけでチームだけでなく日本ラグビーの関係者も同じ気持ちで行くことが大切です」

と述べていたジョーンズHC。4年経っても、その考えにまったくブレはなかった。南アフリカの勝利の後、「10番」を背負うSO小野晃征(サントリー)もこう述べた。

「エディーはプランニングがすごい。選手は毎日必至ですが、エディーは4年後のためにどういう準備をしなければいけないか、先を見ながら大きな夢を持って、そこを埋めていた」

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