現代新書
組織の能率を低下させる「言い訳優先人間」との闘い方
〔photo〕iStock

「超」整理法など数々のビジネスノウハウを考案してきた経済学者の野口悠紀雄氏。その集大成ともいえる新著『「超」集中法』売れている。

大事なことに集中すれば、成果は出る。そう頭ではわかっていても、実行するのは容易ではない。とくに「言い訳優先人間」がたくさんいる組織の中では難しい。いったいどうすればよいのか? ご自身にそのエッセンスを解説してもらおう。


「取り落としがないように全てをカバー」という考えは間違っている

「コアに集中すれば、能率は4倍になる」前回の記事では、このように書きました。以下では、これをもう少し掘り下げて考えたいと思います。ここでのテーマは、「取り落としがないように全てをカバーする」という考えが正しいかどうかです。

●「もれなく対応」で得られるのは見せかけの安心

「コアに対応せよ」というアドバイスは、一見すると当たり前のことのような気がします。しかし、実はそうではありません。

例えば、故障に関してコアと考えられる部品に対応したとします。2:8法則が成り立っていれば、これによって8割のケースに対応することができます。しかし、これは完全な対処ではありません。コア以外の部品が故障することもあり得るからです。その場合には、対処できないことになります。

あるいは、試験の準備で、コアと考えられる内容について勉強したとします。しかし、それ以外の問題が出題されることもあります。その場合には対応できません。
2:8法則は、確率的な内容を含んでいます。したがって、「そのアドバイスに従えばどんな場合にも完全に対処できる」というわけではないのです。

野口悠紀雄氏のビジネスノウハウの集大成ともいえる「2:8法則」を解説した『「超」集中法 成功するのは2割を制する人』(講談社現代新書)

それを不安だと思う人もいるでしょう。そして、「取り落としがないように全てをカバーしなければならない」と考えるかもしれません。そうでないと、失敗したときに言い訳ができないからです。

しかし、「全ての可能性に対処する」というのは、実は見せかけの安心を与えてくれるだけなのです。

例えば、試験の準備を考えてみましょう。勉強できる時間が無限にあれば、あらゆる内容を取り落としのないように勉強することができるでしょう。しかし実際には、勉強できる時間には限りがあります。問題は、その有限の時間をどのように配分するかということなのです。

時間に制約がある場合、すべての内容を取り落としのないようにカバーすれば、かえって悪い結果がもたらされることになります。

「コアに集中せよ」というアドバイスは、使うことができる資源の総量に限度がある場合において必要とされることなのです。