日露首脳会談を実現させた
チーム安倍のしたたかな外交力

北方領土問題に進展の兆し!?
【PHOTO】gettyimages

旧KGB、プーチンの側近を口説き落とした

日露関係が進展する可能性が強まった。

9月25日付各紙(朝刊)は、ウラジーミル・プーチン大統領と安倍晋三首相が国連総会に合わせて28日にニューヨークで会談すると報じた。

まさに岸田文雄外相の訪露(20~22日)直後、プーチン大統領の最側近であるニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記が東京滞在中の最中の発表であった。パトルシェフ書記が、首相官邸で谷内正太郎国家安全保障局長とプーチン大統領の年内訪日をめぐって会談したその日である。

まずは谷内、パトルシェフ両氏の関係がうまく働いた。2人は7月6日、クレムリン(大統領府)で5時間に及ぶ会談を行い、改めて日露戦略対話の維持・発展で合意、両国の経済協力とプーチン年内来日の実現で一致した。

パトルシェフ書記は、プーチン大統領、そしてもう一人の側近であるセルゲイ・イワノフ大統領府長官と同じく旧KGB(現連邦保安庁=FSB)出身だ。

今回の訪日は、先の谷内氏訪露答礼の意味もあるが、イーゴリ・モルグロフ外務次官を同道していることが重要である。ちなみに、パトルシェフ書記は訪日直前、モスクワで行われたバレーボール米露試合を、何とケネディ駐日米大使と並んで観戦していた。

岸田外相は21日午後にモスクワで1年4ヵ月ぶりにラブロフ外相と会談し、10月8日に同地で、日露平和条約締結を議題にした外務次官級協議を再開することで合意した。

ラブロフ外相は会談後の記者会見で、「北方領土問題は協議しなかった」と言明したが、実のところは、夕食を含めた4時間の外相会談では半分以上が平和条約交渉=北方領土返還問題についての協議だったのだ。

ポイントは、対露交渉実務責任者である杉山晋輔外務審議官(政務担当)のカウンターパートが件のモルグロフ外務次官というところだ。

杉山外務審議官は、9月26日からの安倍首相の国連総会出席・ジャマイカ訪問に同行し、10月2日に帰国後、今度は6日にモスクワに向けて発つ。協議する相手が、実は大統領最側近に同行して来日しているのに10日経たずして再び協議するのだ。

安倍首相が強くこだわる年内のプーチン大統領の日本公式訪問は、実現に向かって着実に前に進んでいる。では、なぜニューヨークで安倍・プーチン会談が行われるのか。そこにはロシア側の強かな計算が働いている。

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