マイナンバー導入は段階的に。まず政治家から始めてみてはいかがですか?
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マイナンバーは使い方が命

私は、マイナンバー制度には基本的に賛成だ。

特に、マイナンバーを使って、富裕層の脱税を取り締まるとか、医師の不正診療請求を摘発するとか、政治家の金の流れを把握して、汚職や政治資金法違反を摘発することなどをやってもらえば、税収増と社会的公正を同時に追求できるという思いがある。

また、そうしたことがしっかり行われることを前提に、所得が低くて、所得税を払わなくても良い低所得層に対して、様々な形で手厚い補助を行うということに使えば、庶民のためになるシステムになり得る。

しかし、今の政府のやり方を見ていると、まずは、貧乏人をしっかり管理しよう、あるいは、政治家や金持ちには遠慮して厳しくできないという姿勢があるように思えてならない。

マイナンバー導入のステップと消費増税の導入時期

国がマイナンバーで個人や企業の所得・資産を捕捉するのは、まず、政治家、次に大企業・富裕層という順序で進めるべきだ。例えば、以下のようなステップを考えてはどうだろうか。

来年、2016年1月から、政治家に全ての金融機関の口座情報と全ての不動産を含む実物資産情報をマイナンバーとリンクさせることにする。隠し口座などを持っていたら刑事罰を課す。

それから1年間運用して、情報漏えいなどの問題が起きないことを確認して、2017年から、事業家と富裕層に同様の措置を義務付ける。一般庶民への導入は、その後の2018年以降とする。

それと併せて、消費増税とは関係なく、マイナンバーで把握された所得と資産、家族構成などに応じて各種の税額控除(例えば、子育て控除、介護控除)と非課税所得層への各種の助成金の支給を行う(給付つき税額控除)。

この際、政府が国民に対して保障する最低限度の生活(ナショナルミニマム)を公正に実現する一つの手段としてマイナンバーを使っていくことを明確化すべきではないか。

その大きな議論の決着と経済・税収の動向を見極めたうえで、10%への消費税増税の是非・時期を早ければ2017年夏、遅くとも18年夏ごろまでに決定してはどうだろうか。

最後に別立てで残る問題 新聞の軽減税率

ところで、軽減税率について、食料品以外に、新聞、雑誌、書籍などを入れるかどうかについては、明らかになっていない。

新聞業界が、今回の財務省案に冷淡に見えるのは、品目についての議論がなくなると、新聞などの著作物に軽減税率を適用するという話が完全に独立してしまい、「何故、新聞だけ特別扱いするのか」という議論が巻き起こることを心配しているからではないだろうか。

食品について細かい品目区分の議論が始まれば、国民全体を巻き込んでものすごい大論争になるだろう。その騒ぎの間隙をぬって、うまく自分たちも軽減税率適用のおこぼれにあずかろうという作戦が通用しなくなるのである。

彼らの大義名分は、活字文化の維持・発展であるが、今や活字文化と言っても、紙媒体だけではない。若者にとっては、新聞よりもネット情報の方が情報の獲得手段として重要だ。そういう議論になると、結構分が悪いので、新聞業界などは、もう一度個別品目ごとに決める仕組みにならないかと考えているのではないだろうか。

一方の自民党としては、このテーマは、新聞・雑誌業界に圧力をかけるツールとして、極めて重要であるから、この問題が突出するのは悪くない。

そうなると、しばらくは、新聞は、反安倍の記事は本気では書けないという状況になる可能性がある。

軽減税率の仕組みが決まるまでには、まだ紆余曲折がある可能性がある。新聞が政府案に好意的な記事を書き始めたら、その時までには、安倍政権と新聞業界との間で、軽減税率適用について「ニギリ」ができたと見ればよい。この問題に関する新聞報道は、とりわけ疑いを持って見る必要がありそうだ。

・・・この続きは、メルマガ、『古賀茂明「改革はするが戦争はしない」フォーラム4』Vol.015(2015年9月11日配信)に収録しています。

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