「NY流おもてなし」を伝えたい――受講者数1500人超、“3次元”の料理教室はなぜ人気なのか
ニューヨークを舞台に「挑戦」する日本人――料理家・ひでこコルトン

ニューヨーク在住のフリーライター・公文紫都が、ニューヨークを舞台に“挑戦”する日本人を紹介する当企画。第2弾は、ニューヨーク在住の日本人女性の間で圧倒的な知名度を誇る、人気料理家・ひでこコルトンさんにお話を聞きました。

前編では、外資系証券会社で株のセールスを担当していたOL時代から一変、再婚・出産、サブプライム危機を経て、フードビジネスを始めるまでの経緯をご紹介してきました。後編では、具体的にどのようにビジネスを軌道に乗せていったのか、またこれからの展望について伺いました。

集客は日本食料品店への張り紙やフリーペーパーへの広告出稿

デビット・バーク氏(ニューヨークを中心に、米国で数多くの有名店を輩出しているカリスマシェフ)の厚意により、同氏が所有するレストランをランチ限定で1日貸し切れることになりました。

しかし、当時は今のようにFacebookが浸透していません。集客をしようにも、ニューヨーク在住の日本人に声をかけるには、知人・友人が限界です。そこで、日本食料品店への張り紙や、在ニューヨーク日本人向けのフリーペーパーに広告出稿をするなどして集客。それらの成果もあり、全体の参加者のうち、3分の2は日本人客で埋まったそうです。

約4時間の料理教室では、シャンパンやアミューズ・ブッシュの提供にはじまり、メイン、デザートと数々の料理をデビット氏や彼のもとで働くシェフらが披露していく形式で行われました。メインシェフのデビット氏が前に立ち、その横でアシスタントシェフ兼通訳のコルトンさんがサポート。

初の試みでしたが、カリスマシェフから直接料理の指導を受けられるというコンセプトが受け、この教室は大成功。サービス精神旺盛なデビット氏の協力も相まって、会の終了後には数多くの参加者が、「また参加したいので、ぜひ次回も声をかけてほしい」と期待を寄せてくれたそうです。

しかし有名レストランを貸し切るとなると、それ相応のコストが発生するため、残念ながら2回目以降の教室が開かれることはありませんでした。

けれどここで諦めるわけにはいきません。次の一手を模索していたある日、ティファニーニューヨーク本社の関係者が、コルトンさんがフードビジネスを始めたという噂を聞きつけ、「各国のティファニーの支店長が集まる機会があるから、そこでデビット氏の料理教室を開催してくれないか」とオファーしてきたのです。

ティファニー側は、単に各国の支店長が顔を突き合わせて会議や食事をするだけでなく、"料理"という共同作業を通じ交流を深めることで、より密な関係が築けるのでは? と考えたようです。もちろんこれには、コルトンさんも大賛成。ところがデビット氏はスケジュールが合わず、代わりに、ニューヨークのトップレストラン「ダニエル」に白羽の矢が立ちました。

最終的には料理ではなく、カクテルの作り方を学んでいく教室を開催。ダニエルの代表的なカクテルである『ホワイトコスモポリタン』を中心に、数種類のカクテルや、アミューズ・ブッシュが披露され、大盛況のうちに幕を閉じました。

これら一連の経験が次第にコルトンさんの中で、「自身で教室を持ってみたい」という思いとなり、「NY*おもてなし料理教室」の立ち上げへとつながっていきました。