大阪府警・暴力担当刑事の捜査ファイル
山口組・高山清司若頭の裁判秘録を公開する!(後篇)

懲りない面々

二〇一二(平成二十四)年十一月、検察側論告求刑と弁護側の最終弁論をもって結審した山口組若頭、高山清司の恐喝事件の裁判は、二〇一三(平成二十五)年三月に京都地裁の判決が下った。

日本最大の暴力団首脳を巡る事件だけに、判決の成り行きを見守る警察当局、暴力団双方の張りつめた息遣いが聞こえそうだった。

さらに判決を待つまでの十一月末、もう一つ大きな事件が起きた。山口組ナンバーフォーである極心連合会会長の逮捕である。摘発したのはかつて祝井十吾たちが所属していた大阪府警の捜査四課だ。警察発表を受けた共同通信は次のように報じている。

〈暴力団組員であることを隠してゴルフをしたとして、大阪府警捜査4課は30日、詐欺の疑いで、指定暴力団山口組幹部で極心連合会会長の姜弘文容疑者(65)や、元プロボクシング世界王者で同会幹部渡辺二郎容疑者(57)ら3人を逮捕した。同課によると、渡辺容疑者は「私は暴力団ではありません」と容疑を否認、姜容疑者は黙秘している。

渡辺容疑者は、未公開株売買をめぐり、タレント羽賀研二(本名・当真美喜男)被告(51)とともに恐喝未遂罪の共犯に問われ、一審大阪地裁で無罪判決を受けたが、二審大阪高裁で逆転有罪となり、いずれも上告中。

姜容疑者と渡辺容疑者をめぐっては昨年、当時タレントだった島田紳助さん(56)との親密交際が発覚。島田さんは姜容疑者へ手紙を書いたり、一緒に写真に写ったりしていた責任を取り、芸能界を引退した。渡辺容疑者は2人の交際を仲介したとされる。

逮捕容疑は共謀して昨年3月、組員のプレーを禁じている大阪府のゴルフ場で、身分を隠してプレーした疑い。一緒にプレーした同会幹部1人の逮捕状を取り行方を追っている。

暴力団組員のゴルフ場利用をめぐっては、近年、暴力団の弱体化を目的に、警察当局が詐欺罪を適用して相次いで摘発。組員が利用禁止を認識していたかが焦点となり、不起訴や一審判決で無罪が出た例もある〉(一二年十一月三十日付)

弘道会若頭の竹内照明を逮捕したときと同じく、身分を隠してゴルフをしたという詐欺事件だ。竹内のときと同様、かなり強引な逮捕といえるが、昨今、暴力団相手に警察が使う捜査の常套手段でもある。

「ゴルフ場の使用詐欺は逮捕することが目的やから、仮に起訴することができなくてもええ。実際そうなるケースも多いけど、直参クラスの大物を逮捕できれば、捜査員の株はあがります」

祝井はそう話す。案の定、二人は不起訴処分となり、釈放された。