大阪府警・暴力担当刑事の捜査ファイル
山口組・高山清司若頭の裁判秘録を公開する!(後篇)

半グレという厄介な存在

暴力団組織のネットワークは、むしろ以前より複雑になり、広がりを見せている。株やファンドの世界に暴力団組織の影がちらつき、ときにオレオレ詐欺(振り込め詐欺)や闇金融を背後で操る組員が摘発されるケースもある。

昨今では、「半グレ」と呼ばれる元暴走族メンバーの暴行事件や集団殺人などがしばしばクローズアップされるが、彼らも決して暴力団組織と無縁ではない。暴力団が表に出られない分、半グレ集団がそこを補っているかのような協力関係も浮かび始めている。

法の網を巧妙に潜り抜けようとする暴力団組織と対峙する捜査当局は、相手のさらに上を行かなければならないはずだが、そのネットワークの広がりが、捜査を難しくしている、ともいえる。どうすればいいか、祝井に尋ねてみた。

「われわれとしては、少しでも資金源の解明ができるよう捜査を続ける以外にない、と言うほかありません。何度も言いますが、やっぱりそこで頼るのは捜査の蓄積です」

そう断言する。たとえば京都の恐喝事件において、山口組若頭の高山清司が当時、何度も京都入りしていたことを京都府警は把握しているが、大阪府警にも高山に関する膨大な捜査データがある。そこには、高山本人はむろん親族の銀行口座の動きなども残されている。

政治家の贈収賄などと同様、恐喝事件でも渡した側の資金の出所と受け取った側の処理の仕方は、金銭の授受を立証する上で非常に重要なポイントとなる。京都の事件では、上田から高山に渡ったとされる四千万円の流れがどうなっているか、の解明は事件の大きな鍵を握る。

四千万円の内訳は、〇五年十二月三十日の一千万円を手始めに、翌〇六年八月九日の二千万円、十二月十八日の一千万円の三回分だ。それら合計四千万円が、淡海一家の関係者を通じて高山に渡ったと捜査当局は断じた。

被害者の上田藤兵衛は、それらをタンス預金や銀行口座から引き出し、彼らに現金で手渡した、と警察・検察に供述している。被告人の高山および弁護側は金銭授受そのものを否定しているが、警察や検察にとって問題はそこではない。淡海一家の関係者に渡したあと、そのカネがどう処理されたか、そこが一つのポイントになる。

そこについて、ある現役の大阪府警関係者に聞いた。すると、しばらくして非常に興味深い話が返ってきたのである。