雑誌 企業・経営
デジタルアニメーションの旗手「白組」島村社長(82歳)に聞く
「オタクの力が世界を動かす」

まもなく『GAMBA ガンバと仲間たち』公開!

人の手で描いた絵を何万枚も撮影し、動画に見せる「セルアニメーション」の発明から101年。しかし今ではこの手法は使われず、彩色されたコンピューター上の空間でキャラクターが動く「デジタルアニメーション」に変化している。この進化の旗手となったのが「白組」だ。3Dのコンピューターグラフィックス(CG)など数々の特殊技術を持ち、今秋には児童文学の傑作を原作とするフル3DCGアニメ『GAMBA ガンバと仲間たち』を公開する。社長は東映動画スタジオ出身の島村達雄氏(82歳)だ。

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しまむら・たつお/'33年、東京都生まれ。'58年に東京藝術大学を卒業後、東映動画、学研、東京コマーシャルに勤務し、'74年に白組を設立。'99年短編アニメーション「河童」の大藤賞など、受賞歴多数。現在はアニメーション作家、映像作家、映像プロデューサー、京都造形芸術大学教授もつとめる

源流

今、日本はアニメ大国などと言われていますが、元々はアメリカのウォルト・ディズニーのほうが断然進んでいたんです。昭和30年代前半に、東映の大川博社長(実質的創業者)が、「いずれアニメーションの時代が到来する」「将来は輸出もしたい」と考え、スタッフをロスのディズニースタジオへ研修に行かせました。帰ってきたスタッフは、荷物を玄関に放り出し「ディズニーはすごい!」と興奮していました。

これを受け、大川社長は大金を投じて東映動画スタジオ(現在の東映アニメーション)を設立し、ここから様々な人や技術が花開いていった。時代の先を見通せる大物が思い切って大金を投じなければ、今の「アニメ大国」はなかったと思います。

当時からスタジオには俳優の演技を下から撮影できる地下室までありました。日本人には恐ろしいところがある。見よう見まねから始めたはずが、ディズニーを超えようとしていたのです。

天才

私が最初に携わった大作は、日本初のカラー長編アニメ映画『白蛇伝』です。絵を描く人は、技術を学んだわけでなく実績もない即席の寄せ集めのような人たちでしたが、その中に天才が何人もいた。美しい絵をデッサンもせず描き切るんです。驚きました。