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暴力団の資金源を洗い出せ!~マル暴刑事の捜査秘録を開封する
【まえがき公開】森功『大阪府警暴力団担当刑事』

吉本興業とアングラ人脈、山口組のカネ、島田紳助事件、地下経済に流れる黒マネー…関西闇社会の怪紳士たちの実態を、敏腕大阪府警担当刑事の視点から生々しく暴いた『大阪府警暴力団担当刑事 捜査秘録を開封する』が発売された。本書から、現在の山口組分裂の捜査にもつながる「暴力団の資金捜査」に触れたまえがき部分を特別公開!

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「工藤会」摘発のインパクト

昨年(二〇一四年)から今年(二〇一五年)にかけ、福岡県警が取り組んでいる九州最大の指定暴力団「工藤会」の摘発が、各方面に話題を広げている。皮切りは、工藤会総裁の野村悟と会長の田上文雄というツートップの逮捕だ。

昨年九月、地元北九州市若松区脇之浦漁協の元組合長、梶原国弘の射殺事件で両人を殺人容疑に問い、逮捕した。これまで手を焼いてきた工藤会に対し、十六年前に起きた一九九八年二月の事件を掘り起こした執念の捜査といわれる。

工藤会は、建設業者の襲撃やナイトクラブへの手榴弾投げ込み、さらには元福岡県警刑事の銃撃などでも、その関与が取りざたされた。これ以降、県警本部は工藤会幹部の犯罪を次々と見つけ出し、総裁の野村を五度も逮捕した。

北九州市小倉北区に根城を築いている工藤会は、警察庁が国内で最も危険な暴力団組織だと見て、日本で唯一「特定危険指定暴力団」に指定している組織だ。二〇一二年十二月、地元福岡と山口の県公安委員会から日本で初めて特定危険指定暴力団と認定された。

福岡県警によると、二〇一三年末時点の構成員はおよそ五百六十人。日本全国にある二十一の指定暴力団のなかで見ると、その規模は七番目にあたる。構成員一万三千、準構成員一万二千を擁し、最大の勢力を誇る山口組に比べると、組員の人数そのものはかなり少ない。

が、警察庁は山口組と並び、この数年、工藤会の摘発に取り組んできた。昨年のツートップ逮捕の際は、福岡県警職員の三割以上に当たる三千八百人の捜査員を投入したうえ、警視庁をはじめ、山口県や長崎県、千葉県、さらには北海道にいたるまで、実に六都道県の警察本部から精鋭が集結し、異例の事件捜査に当たった。