No.2が会社を成長させる!
新たな時代の経営に必要な「ある思考法」

小笹文イベントレジストCOOインタビュー

女性起業家に経営コンサルタント・多摩大学客員教授の本荘が話を聞く本連載、最後のインタビューとなる第29回は、イベントレジスト株式会社の小笹文取締役COO(最高業務執行責任者)に話をうかがった。

日本経済新聞社はじめ著名企業とのアライアンスを推進する同社の経営方針、男女ペアで創業しNo.2を務める小笹さんの姿勢と試練の乗り越え方に迫る―。

小笹文(おざさ・あや)
イベントレジスト株式会社取締役COO

東京出身。1999年に早稲田大学第一文学部卒業後、株式会社リクルートに入社し、7年半ASPシステムやブライダル情報誌の法人営業に従事。その後2006年からグーグル株式会社で Google AdWords や YouTube の国内におけるセールスマーケティング業務を担当し、国内大手企業や代理店に対する広告プロダクト拡販スキームの立ち上げ、B2Bのイベント運営に携わる。2009年にグーグルを退社後、企業のセールスマーケティング、ソーシャル戦略のコンサル/企画・運営を経て、株式会社ナインスラッシュワンを設立し、2011年イベントレジスト創業に参画。イベント業務管理士。

“大人ベンチャー”の経営戦略

イベントレジスト(以下、イベレジ)は、主に企業がイベントや展示会、カンファレンスを主催する際、チケット申込サービスの提供だけではなく、マーケティングに関わるすべてのお手伝いをしています。主催者の手間になることをテクノロジーでどんどん解決し、その分イベントの中身やおもてなしに時間を費やしてもらえるようサービスを改善し続けています。

米国のEventbriteが日本に進出すると噂されるくらい有名になってきた時期に、日本でもチケット販売サービスを提供する会社がいくつも立ち上がりました。私たちは立ち上げ時期は早かったのですが、他社より半年ほど遅れて2011年11月にサービスをローンチしました。

結果的には、少し遅れてよかったと思います。当初はC2Cでチケット販売手数料からの収入をメインに考えていましたが、試行錯誤の過程で私たちの得意領域と世の中のニーズが明らかになってきました。

ベンチャー界隈において私たちのチームは若くありません。“大人ベンチャー”とも言えますが、メリットは20代の頃の友だちが今、企業の決裁者や重要なポジションにいることです。そうした環境からもB2Bのほうが有利だと考え、マーケティングオートメーションなどの技術と連携できるプラットフォームを目指しました。

※興味関心が異なる顧客とのコミュニケーションなど、デジタルマーケティングにおける煩雑な業務を自動化する仕組み。

イベントチケットの新事業はいくつもあるが、イベレジはエンタープライズ(大企業)向けのテクノロジーベースのBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業として特色を出している。後発で先行例を研究しての参入が、競合多数の市場で功を奏したよい例と言える。

世の中に優れたものがすでにあるなら、組んだ方が早い

イベレジのメインユーザー層はビジネスパーソンで、複数のイベントに申し込んでくれています。その顧客層が、日本経済新聞社やフリークアウトといった企業が興味を持ち、資本・業務提携に至った大きな理由だと思います。

エンタープライズ系(大企業向け)のサービスは、専門性の高いものが世の中に溢れています。そのため一から自社で開発するより、すでにある優れたサービスと連携させる方がスピードが早く、やりたいことが実現できることもあるのです。

日経新聞社とのアライアンスを発表してから半年、日経IDでもイベレジにログインできるようになり、日経グループのイベントにおける利用も着実に拡げていただいています。

フリークアウトは、最先端の広告配信技術を有する企業です。フリークアウトとの協業によって、オンラインとオフラインの行動の垣根を超えたマーケティング活動の実現を目指しています。イベント主催者の方には、イベント集客やイベント後のリードナーチャリング(見込み客育成)に役立てていただけるはずです。

私たちにとって、こうした事業シナジーがある企業との出会いは本当にありがたいことです。

スタートアップは企業の資本参加に対して、色がつくのが怖いと消極的になるか、自ら積極的に仕掛けていくか、両極端なことが多いが、イベレジはそのどちらでもない。ユーザーの幸せを徹底的に追求するポリシーと外部の力を活かそうという柔軟な姿勢が、いい連携を生んでいる。