ヤクルト優勝への立役者!前人未到の六冠へいざ!
天才バッター・山田哲人の「秘密」

両親・恩師らが明かすニューヒーローの原点
〔photo〕Wikipediaより

彼を知る人は皆、「ヘンだけど憎めない奴」と口を揃える。口癖は「ヤバいっす」。空気を読まない極度のマイペース。だが、そんな若者が歴史を塗りかえようとしている。ニューヒーローの原点を辿る。

ほめられて伸びるタイプ

史上9人目のトリプルスリー達成。さらに三冠王、盗塁王、最多安打、最高出塁率と、前代未聞となる「六冠王」の可能性も見えてきた。

ヤクルトの山田哲人(23歳)について、一軍で打撃コーチを務める杉村繁はこう語る。

「山田はミスター(長嶋茂雄氏)に似ているところがあると、私は密かに思っています。彼が打つとチームが盛り上がり、みんな打ち出す。カリスマというのとはちょっと違っていて、底知れない天然の魅力がある。独特の雰囲気を持っているヤツなんです」

球界No,1打者にして、ちょっと変人——そんな天才・山田は、いかにしてでき上がったのか。両親や恩師の証言をもとに、その「秘密」を探る。

山田の故郷は兵庫県宝塚市。警察官の父と、パート勤務の母、姉と妹の5人家族で育った。

山田の父・知規さんに今季の息子の活躍について尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「まさかこれほどの選手になるとは、全く想像もしていませんでした。でも確かに身体能力は、赤ちゃんの頃からすごかった。バネがあるというか」

山田の驚異的な身体能力は、立って歩く前から表れていた。まず両親を驚かせたのが「高速ハイハイ」だ。母の則子さんが振り返る。

「哲人はハイハイのスピードがものすごく速くてね(笑)。お姉ちゃんとあんまり違うから驚きました。バタフライのように手を動かして、地面を蹴りながら、どんどん前に進んでいくんです。もしかして、この子は運動神経がいいのかな、とその時に思いました」

父の知規さんがスポーツマンだったこともあり、幼少期の山田は、野球以外の競技にも取り組んでいた。そこでも山田は、生まれ持った運動神経の良さを遺憾なく発揮する。

「哲人が幼稚園の頃は空手を習わせていました。幼稚園生ながら地区の大会で小学生に交じってベスト8までいったんです。小学校1年時はサッカーもしていて、市内の大会で得点王になったこともあります」(知規さん)