ついに日本上陸!
テスラ・モーターズ「モデルX」開発秘話

「次のジョブズ」はこの男だ!(3)
独特の「ファルコンウィングドア」が特徴的なモデルX
美しく高性能な「100パーセントの電気自動車」というコンセプトで、巨人たちが居座る自動車業界に殴り込みをかけ続ける「テスラ・モーターズ」。セダンタイプの「モデルS」に続いて、SUVタイプの「モデルX」の納車が9月末に始まると、イーロン・マスクは高らかに宣言した。初の公認伝記『イーロン・マスク』から、モデルS、モデルXにまつわる箇所を紹介しよう。

開発が驚異的な速さで進む理由

資金の心配がなくなったところで、マスクはエンジニアチームの強化とモデルS開発の本格化に着手した。本社をパロアルトの大きなビルに移し、フォン・ホルツハウゼンはデザイン部門を拡大した。モデルSの開発に加えて、メルセデスとのプロジェクトやトヨタのRAV4のEV化もある。

モデルSのアルファ版ではバッテリーパックやパワーエレクトロニクスを刷新した。試乗したマスクのもとにすぐにエンジニアが集まった。感想を聞くためだ。これまで何度も実施されてきた儀式である。このときは、「ステアリングをもっと硬めに」といった指示が飛んだ。

開発は強行スケジュールで進められた。寒冷地テストを2週間で完了させ、すぐに次のチームがパワートレーンのチューニングに取り組むといった感じだから、アルファ版のチェックはわずか15台ほどで終わった。

そのペースの速さに、メルセデスやトヨタの関係者は唖然としていたという。大手ならアルファ版で200台、さらにベータ版になっても数百〜数千台を使う。それがテスラでは15台ほどで衝突試験からインテリアデザインまで終わらせてしまうのだから、信じられないのも無理はない。

こうしたスピード経営は、テスラにもスペースXにも共通している。マスクの高度な要求に応えるには、こうするしかないのだ。いちいち会議を開いて、何の代替案もないまま問題点を報告するよりは、優秀なエンジニアがその場で対処したほうが話は早いのである。