サラリーマンの胸に刺さる
『しんがり 山一證券最後の12人』名セリフ!

「言いたいことが言える人間じゃないとね」
「しんがり」メンバーらが作成した社内調査報告書は現在でもウェブで閲覧可能だ
「しんがり」のメンバーは今でも毎年のように「同窓会」――一種の「戦友会」を開いているそうです。本書『しんがり』のエピローグにも、その同窓会の場面が登場するのですが、彼ら一人ひとりが「昔」や「今」、そして「未来」について語る場面が、私のようなサラリーマン編集者にとってもジンワリ・ホロリとくるのです(書籍編集者A)

「流されちゃいけない」

はにかみながら、郡司由紀子は立った。

「イヨッ」という掛け声がかかったが、彼女が硬い表情で、「私は見ていました」と話を始めたので、すぐにシーンとなってしまった。

「嘉本一家の皆さんと会ったとき、最強のメンバーだなと思いました。調査委員会の役員は給料もなく、株主代表訴訟の心配もあったのに、潰れた会社に何日も泊まり込んだりしていました。夜遅く、床一杯に資料を広げていた姿は忘れられません。私は感動しました」

彼女は証券会社の検査役を辞め、いまも母と二人で暮らしている。リストラの逆風の中で早期退職に応募したのだ。

この世は理不尽なことがたくさんあります。でも流されちゃいけない。言いたいことが言える人間じゃないとね

そう言って、彼女は長澤にお酌をしてやった。

「山一に育てられました。だから山一の誰も恨んでおりません」。そう言ったのは、営業企画部付店内課長だった白岩弘子である。

「そうだねえ。受け入れ難いことじゃったが、過ぎ去ったことを忘れて出発しないとな」と、傍に座っていた菊野晋次が静かに相槌を打った。