安倍首相「消費増税延期」判断は正しかった!
~今振り返る。あの時消費増税していたら、日本経済は滅茶苦茶になっていた

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「英断」か「愚挙」か

目先の政策判断についてはメディアが繰り返し取り上げるが、ひとたび決まった政策について検証されることは少ない。2015年10月1日、本来ならば消費税率が8%から10%に引き上げられているはずだった。

それを止めたのは昨年11月18日。安倍晋三首相の“独断”だった。法律に付いていた「景気判断条項」を使って、首相自らが方針を決めたのである。

当時、政府も経済界も大勢は再増税実施で固まっていた。役所がお膳立てした首相官邸での意見聴取でも、増税論が優勢だった。首相周辺の経済ブレーンだけが、4月に5%から8%に引き上げたばかりの消費増税の影響が大きいとみて、再増税に強く反対。「このままでは日本経済は瓦解する」と進言していた。

財務省は最後の最後まで首相が景気判断条項を使って先送りを決断することに抵抗した。景気判断条項はあくまでリーマンショックのような不測の事態を想定しており、今はそれに当たらないというものだった。

そんな中で、2014年7-9月期のGDP(国内総生産)が予想外のマイナスにならなければ、安倍首相も先送りを決断できなかったかもしれない。

2期連続のマイナス。「影響は早期に解消される」としていた財務省の説明に疑を抱いた安倍首相は、経済ブレーンの主張に一気に耳を傾けた。そして「首相の暴走という批判を封じるために総選挙に打って出た」(首相に近い政治家)のである。まさに政治生命をかけた首相の政策決定だったと言える。

この安倍首相の“独断”は正しかったのだろうか。検証してみたい。

消費増税に向けて駆け込み需要が大きかったのは住宅である。国土交通省の新設住宅着工戸数の統計をみると、2013年5月から14年1月まで、対前年同月比でほぼ2ケタの伸びが続いた。毎月8万~9万戸が着工され、1年前よりも1万戸程度上乗せされた。

14年4月の消費増税によって、その反動が出たのは言うまでもない。14年3月から対前年同月比でマイナスになったのが、プラスに転じたのは今年(2015年)3月。大きくプラスになったのは5月(5.8%増)以降である。消費増税の影響が消えるのに1年3ヵ月を要したのである。

もちろん2014年の数字を上回ったからといって影響が消えたと言えるわけではない。2013年の着工戸数を上回るか、それに迫る数字にならなければ、影響がなくなったとは言えないだろう。

実は6月の新設住宅着工戸数は凄まじい伸びを見せた。16.3%増の8万8118戸と2年前の8万3704戸を上回ったのだ。都心部を中心に高層マンションの着工が相次いだほか、長く低迷していた持ち家の着工も増えた。持ち家の着工戸数は2万6643戸と3万戸を超えていた2013年12月以来の戸数となった。